スキューイーズ数
だいぶ以前だけど、NHKの 「クローズアップ現代」 で、「なぜおとろえた、考える力」というテーマを取り上げたことがあった。
最近の子供たちは自分の頭で組み立てる抽象的な問題によわいんだそうである。
番組の中に、1000000000000 (1兆) なんて数字が出てくるともうわからないなんて話が出てきた。
わたしもこれだけゼロが多いと、まちがえないよう何度も数えて、目がちらちらしてきたくらいだから、あんまりエラそうなことを言えないけど、この番組からべつの話を連想した。
SF作家アイザック・アシモフのエッセイにスキューイーズ数というものが出てくる。
これはこれまで人類がなんらかの計算のためにあつかった数字のうち、もっとも大きいものだそうだ。
大きい数字というと、たとえば地球から月までの距離、太陽から冥王星までの距離、それらを全部ひっくるめた太陽系のはじからはじまでの距離、そういう太陽系を全部ひっくるめた宇宙の果てから果てまでの距離、目線を変えて、そういう宇宙の果てから果てまでに含まれる水素原子の数なんて数字が思い浮かぶけど、スキューイーズ数はそんな小さな、かわいらしい数字ではないんだそうだ。
こんな大きな数字になると、もうソロバンやコンピューターによる計算でさえ現実的ではなくなり、抽象的、観念的なものの考え方をしないことには、その大きさを把握するのはむずかしい (らしい)。
このスキューイーズ数を数式であらわすのはむずかしくない。
それは10の10乗の10乗の34乗である。
なんだ、それっきりかという人がいるかもしれないけど、これを乗べきを使わないゼロを並べた数字にしようと思うと、とたんに現実的ではなくなってしまう。
たとえば10の5乗は、乗べきを使わずにゼロを並べると10×10×10×10×10で100000になる。
同じようにスキューイーズ数をゼロを並べて書こうとすると・・・・・・
ここでアシモフはそれを試みる。
しかし計算の途中でこれがとんでもない無謀な行為であることがわかってくる。
このゼロを水素原子 1個分の大きさで書いていっても、書き切るためには地球の表面積に等しい広さが必要になり、しかも、ゼロひとつを一兆分の 1秒で書いていっても、全部書き終えるには 1000兆年もかかるというのである。
しかもこれは終わりではない。
スキューイーズ数はこのまだはるか彼方にそびえているのである。
想像力の豊富さが問われるような数字なのだ。
そんな数字を何に使うのかといわれても、専門家でも塾の先生でもないわたしには返事のしようがない。
世間にはこんな計算をしてよろこんでいる人もいるってことなんだろう。
わたしは疑りぶかい人間といわれているけど、さすがにホントかどうか確認してみようって気にはならなかった。
しかしこういう話を本で読むのは好きである。
たまにはこんな役に立たないことを考えると、脳みそ内の拡張になるんでないか。
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