カリン
カリンである。
じつにみっともない実である。
かたちもみっともないし、枝の先っぽだとか、本来は実るべき場所じゃないようなところにひょっこり実っちゃったり、葉が落ちたあとにいつまでもだらしなくぶらさがっていて、どことなく定年退職して家族にジャマ者扱いされているおじさんの悲哀のようなものを感じてしまう。
それでも食べて美味しいなら可愛げもあるが、どうも果物というには抵抗があるようで、カラスや小鳥たちも見向きもしないようだ。
名前そのものは女の子の名前みたいで可愛らしいけど、植物にはだいたい和名というものがあるはずなので、調べてみたら、ものすごくむずかしい漢字だった。
別名で木瓜とよばれることもあるそうだけど、この名前はほんらいボケという別の種類の木の名前である。
さらにマルメロという木の実があって、これもカリンと呼ばれているとかで、もう何がなんだかわからない。
まったくもってみっともない実なのである。
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