弁解
ようやくマルタの日程表が届いた。
これによると、わたしがひとりで行ってみようかと思っていたマルサシュロックという港町も、オプションで選べるようである。
路線バスで行くほうが安いに決まっているけど、オプションの気楽さも捨てがたい。
さて、どうしようかって悩んでしまう。
マルサシュロックって町については、テレビの紀行番組で知ったんだけど、どうもこの番組自体がどこかの旅行会社のツアーをそのままなぞったらしい。
けしからん。
テレビ会社ならもっと誰も行かない場所を紹介してくれなくちゃ。
近いうちに海外へ行きますなんて、このブログでしょっちゅう宣伝してるけど、ちょっと気がかりなこともある。
この不景気な世の中で、家族の生活や子供の学費、家のローンに追われ、ついにいちども海外旅行をしないまま人生を終える人だっているだろう。
いい身分だよなという冷ややかな声も、わたしの耳に聞こえてないわけじゃないのである。
で、そのへんをなんとか弁解する屁理屈をひねくり出す。
「CAR GRAPHIC」 という雑誌がある。
1962年創刊というから日本の自動車雑誌のしにせといっていいような雑誌である。
日本ではマイカーなんてまだ夢物語だったころからある本なんだけど、当時からこの雑誌の売りものはベンツだとかジャガーなんかの試乗記だった。
若いころのわたしは国産の安い車でさえとんでもないという身分だったけど、記事そのものはなかなかおもしろかった。
で、ずるずると20年以上も購読しちまったんだけど、これは、なんというか、つまり貧乏人のあこがれを満たしてくれる本だったとでもいえばいいだろうか。
世の中にはこんなふうに、他人に自分の夢を託して楽しむという人もいるのである(と信ずる)。
わたしの場合、旅に出かける理由は、べつにブランド商品を買うわけでもないし、おいしいものを食べたいというわけでもない。
とにかく自分の知らない世界を見たいという情熱につき動かされての旅で、そのために失ったもの、世間から後ろ指さされることも少なくないのである。
そういうわけでありますんで、わたしにとって旅というものは、ほかのものを犠牲にしたゆいいつの楽しみなんだということをどうかご理解なすって、なんとか大目にみてもらいたいのである。
引き合いにされた 「CAR GRAPHIC」 には申し訳ないけど。
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