マルタ紀行/戦争博物館
この日の団体ツアーは午前中で終わりである。
午後からオプションでハーバークルーズなんてものが設定されていたけど、それに参加しない客のほとんどがヴァレッタ市内での解散を望んだ。
わたしも解散派で、みんなと別れたあと、わたしはただちにヴァレッタのあるシべラス半島の先端をめざした。
市街地のさらに先には聖エルモ砦という要塞がある。
べつに要塞を見たいわけじゃなく、とにかく岬のとっつきまで行ってみたかった。 岬の先端から海をながめてみたかった。
そんなところになにかおもしろいものがあるとは思えないけど、そこに山があるからっていう登山家みたいな心境である。
わたしもいちおう登山家のはしくれのつもりなのだ。
ずんずん歩いていくと、ヴァレッタの市街地をめぐる外周道路に出た。
この道路より先にいく道はないかと探しているうち、警察学校のわきに岬にむかってのびる道路があることがわかった。
そこにはいちおう門がある。
門前をいったりきたりして逡巡していると、子供を肩車した黒人が入っていくのがみえたから、かまわんだろうと入ってみた。
たちまち門衛につかまって追い出されてしまった。
途方にくれてさらに歩いていくと、なにやら立派な入口のある 「国立戦争博物館」 というものがあった。
こんなものに興味はないけど、ひょっとすると博物館の裏口から半島のとっつき方向へ出られるかもしれないので、入ってみることにした。
イスラム勢力との戦争に明け暮れたマルタだけど、この博物館の展示対象は第二次世界大戦のものである。 つまりアレック・ギネス主演の映画 「マルタ島攻防戦」 のときのものである。
映画は観てないけど、第二次世界大戦でマルタは連合国の重要な補給基地になり、また英海軍の拠点として枢軸国側の海上輸送をおびやかしたとある。
当然ながらドイツ、イタリアの空襲にあい、ガイドのYさんの話では、この戦争で英国に落とされた全爆弾をうわまわる量の爆弾が降りそそいだそうである。
すごかったんだろうなあとは思うけど、ヴァレッタをはじめとしてあちこちに古い建物が残っているところをみると、ドレスデンや東京ほどじゃなかったみたいだ。
せまいところにごちゃごちゃと、高射砲や機関銃や当時の軍服や、穴のあいたヘルメット、ジープ、飛行機まで押し込んだ、なんか骨董屋みたいな博物館だった。
マルタのものというより、英国が自分の戦績を記念するためにつくった博物館のようである。
裏口から半島のとっつきへという期待もむなしく、館内をぐるぐるまわって、けっきょくまた入口にもどってしまった。
あまりやる気がなかったせいで、写真もろくなものがない。
この博物館についてはわたしより詳しいブログをもっている人がいるから、詳細はそっちを参照したほうがよい。 彼も写真の撮影には苦労したようだ。
http://navgunschl.sblo.jp/article/30821717.html
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