マルタ紀行/化石博物館
マルサシュロックの帰りに化石博物館というところに寄った。
ヨハネやパウロよりもさらにさかのぼる時代、人間の歴史もまだ始まってなかった時代、氷河期やその後の温暖化の時代に、海水面の下降上昇によって多くの動物がマルタ島に取り残され、そのままここで独特の進化をとげたそうで、そうした動物の化石の博物館である。
わたしは以前ロバート・シルヴァーバーグの 「地上から消えた動物」 という本を読んだことがあり、その本の中に、かってモーリシャス島にたくさん棲んでいて、その後の大量殺戮で絶滅したドードーという鳥の話が出てくる。
時間の経過とともにドードーの存在そのものが疑問視されるようになったころ、この鳥がたしかに生存していたという証拠を探求する学者がこんな考察をした。
動物が死ぬとその骨はどうなるか。
たぶん雨に流されて川に運ばれるだろう。
最終的に骨がたどりつくのはどんな場所か。
こんな考察のもとに川の河口ふきんの地層を掘ってみたら、果たせるかな、大量のドードーの骨の化石が発見されたというのである。
マルタの化石博物館もやはり、かって川だったところの洞窟から大量に発見された動物の化石が展示されているのだそうだ。
入館してみると、いちばん目立つ場所にドードーの絵がかかげてあった。
骨しか発見されてない鳥だから、じっさいの形については諸説があるけど、最低限の共通認識はあるようで、好事家が見ればドードーであることはすぐわかる。
それは丸っこい七面鳥のような鳥である。
わたしは博物学に興味があり、壁ぎわにずらりと並んだ骨の化石に目をみはってしまうけど、残念ながらこんなものがあることにぜんぜん不勉強だったので、短時間の見学ではどうもあまり関心をもてなかった。
それでもマルタに古生物の博物館があることだけは、しっかりと脳裏にきざみこんだ。
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