マルタ紀行/フェリー
この旅に出発するまえ、わたしは念入りに研究して、ホテルのあるセント・ジュリアン地区からヴァレッタまで、おおむね3~4キロぐらいだろうと踏んだ。
そのていどならトレッキング派のわたしに歩けない距離じゃない。
歩いてやろうじゃないかと意気込んでマルタにやってきたものの、現地でじっさいにながめてみたら、たちまちその気が失せた。
じっさいの距離は4キロぐらいかもしれないけど、ながめた感じでは10キロ、20キロ彼方って感じである。
地図をみると、ヴァレッタのあたりは湾がややこしく入り組んでいるけど、セント・ジュリアン地区からスリーマという町のある半島を経由して、そこで海を渡ることができれば距離はかなり短縮できそうだ。
こういうところにはたいていフェリーや連絡船があるものである。
調べてみたらやっぱりフェリーがあった。
というわけで、ヴァレッタのあるシべラス半島の先端をきわめ、カルメル教会を見物したあと、そろそろホテルにもどるつもりで、わたしはフェリー乗り場へ向かった。
フェリーは30分に 1本くらいの割で出ているようで、料金はものすごく安い。
しかしマルタの通貨に不慣れなわたしは、手のひらにコインを乗せて差し出した。 こうすれば相手が勝手に料金を徴収してくれるから、あとで路線バスに乗ったときもわたしはこのスタイルだった。
乗船してみると、乗っているのは欧米人観光客ばかりである。
しかもがらがらだったので、全員が上甲板のベンチに座った。もちろんわたしもそうした。
対岸のスリーマまでせいぜい 15分である。
天気がいいので、風に吹かれる上甲板はとても気持ちがよかった。
とちゅうでフェリーは古そうな要塞の残るマノエル (=MANOEL) 島をかすめる。
双眼鏡を用意していたので、この島を拡大してながめた。
大きな建物がいくつも残っているけど、ほとんどが廃墟のようで、ようやくひとつの建物に旗が上がっていて、まわりに数台の、これはピカピカの現代の車が停まっているのが見えた。
建物は古いものばかりのようだからりっぱな観光資源になりそうだけど、現在は軍の基地に使用されていて、公開はされてないらしい。
スリーマに近づくと、こちらは派手な現代風の建物ばかりである。
建物のあいだに茶色い古そうな教会が見えたけど、これ以外は世界遺産もへったくれもない新しいビルばかりだ。
古い街ばかり見てきたあとだから、いくらか新鮮な気分で上陸することになった。
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