« マルタ紀行/カルメル会の教会 | トップページ | マルタ紀行/フェリー »

2011年4月 4日 (月)

対応

新聞を読んでいたら、東電がぼろくそに叩かれているという記事。
そりゃ叩かれても仕方ないってこともあるけど、社員に危害がおよぶ可能性もあるってんで、社員寮の表札から社名を消したりしたという。
するとたちまちネット上に
「さすがは隠ぺいのプロだな」
「こういうことになると対応がじつに早い」なんて書き込みがあふれているそうだ。
他人の不幸を笑っちゃいけないけど、なんかおもちろい。

ところで、これはけっして東電の味方をしようってわけじゃないけど、今度の原発災害について、新聞に行政や監督官庁や東電の責任を問う声がひじょうに多い。
その大半が結果論みたいで、へそ曲がりの当方にはちと気になる。
原発に対して過去に何度か警告が発せられていたのに、何も対応しなかったという声もあったけど、対応というのはどういうことか。

たとえば東京の芝公園に東京タワーという大きなテレビ塔が立っている。
大震災がきたらこれが倒壊して大被害が出るかもしれないから、いまのうちに耐震補強をしたらどうかと、わたしが警告を発したらどうなるか。
タワーの管理者は一笑にふして、あれは想定される震災にじゅうぶん耐えるように立てられているからダイジョウブというだろう。
想定以上の震災がきたらどうするかと、わたしがさらにしつこく追求したとする。
そんなことをしたらとんでもない費用がかかってしまう、東京タワーも営利を追求する民間企業なのだから、想定外の災害についてあらかじめ対応していたらキリがないと返事されるのがオチだろう。
しかもこの先1000年ぐらい、そんな想定以上の地震なんて来ないかもしれないのである。
1000年もあったら東京タワーは全面廃棄、スカイツリーをしのぐテレビ塔に建て直しされているかもしれない。

以前、歩道橋に大勢の群集が押し寄せて、橋が落ちて大勢の死傷者が出たことがあった。
するとたちまち警察が責任を問われる。
そういうことにならないように、事故が起きるまえにお金をかけて橋の補強をしておけばよかったということだろうか。
いつおこるかわからない事故に備えて、ありとあらゆる場所に税金をつぎこんで対応をしておけばいいってことだろうか。

東電の対応に問題があるってことはわたしも認めるけど、それは隠ぺいしたり、事故後のへたくそな対応や、社長はどこにいるんだといいたくなるような無責任な役人的体質についてであって、事故以前の対応については、わたしはそれを非難する意見にちょっと疑問を感じているのである。

| |

« マルタ紀行/カルメル会の教会 | トップページ | マルタ紀行/フェリー »

(朝日)新聞より」カテゴリの記事

コメント

ごめんなさい、
議論したくないのですが一言。

東電の個人を攻撃するのは筋違い、いうまでもありません。ネット上の魑魅魍魎に組する気はありません。

でも、国、社会を危うくした政治、企業の責任は問われるべきです。特に危機管理のあり方や責任のとり方も。

地震からは比較的短期間に復興可能(被災者の皆さん、ごめんなさい)だと思います。

でも、原発被害は容易には克服できません。核分裂は一度暴走すると容易にはコントロールできません。さらに、放射性同位元素の気も遠くなる半減期を考える必要があります。まして今回は予測不能とは言えないと思います。ここの原発の非常事態に対応するシステムが不十分なことは、かなり具体的に国会でも問題にされました。過去の津波の事例から非常時に炉心の冷却機能が喪失するのではとの議論がされています。根本的には制御不能となる原発の是非が問われていると思います。

へそ曲がりと自称されていますし、ご知の上で、お書きとは思いますので、なおさら、本ブログの愛読者としてはなんかちがうなあと感じました。

私自身、ちょこっと募金集めや送金程度しかできませんが、月並みですが心を痛めています。

コメントを非表示にできないのでこのまま送ります。

投稿: ポチ | 2011年4月 4日 (月) 20時45分

あらかじめお断りしておきますけど、わたしのブログは皮肉や揶揄、冗談がすぎて、まじめな人が読むとふざけているとしか思えないところがあるようです。
以前、せっかくネットを通じて知り合ったものすごい美人(と思われる)女性を怒らせてしまって、あれはじつにモッタイナカッタ、といまでも思っているくらい。
ああ。またふざけたことを書いてしまったけど、わたしだって今回の震災にはこころをいためているんだってことだけは理解しといてくださいね。

ポチさんの意見は90パーセント正しいと思いますよ。
90パーセントというのは、たぶん日本人の9割が同じ考えだろうということです。
つまり、じっさいに震災が起こって、そのあげくに国家と企業の危機管理の欠点がボロボロとあらわになった現時点では、あなたの意見が日本人の一般的、常識的意見でしょう。
ところがどうにも始末におえないことに、わたしのブログは日本人の常識に水をぶっかけることを生きがいにしているブログですからね。
もしわたしが、このブログでポチさんと同じことを書いたらどうでしょう。
へそ曲がりのわたしまでが、みんなと同じ考えをもったら、これ、ちょっと大政翼賛会みたいでコワくないですか?
だからわたしはこころを鬼にして、世間の常識に背を向ける意見を書いたのだというのはウソですが、まったく反対意見のない意見なんてやっぱりまずいと思います。

このていどにしておきましょう。
わたしもまじめな人と議論したくないし、原発についてはそのうちに自分の考えを表明するつもりです。

投稿: 酔いどれ李白 | 2011年4月 5日 (火) 05時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 対応:

« マルタ紀行/カルメル会の教会 | トップページ | マルタ紀行/フェリー »