マルタ紀行/マルタの鷹
うんちくを語るほど詳しくないけど、マルタでワインはずいぶん飲んだ。
日本でいつも飲んでいるワインに比べると、いくらか個性がつよいもの、つまりエゴい味を感じるものが多かったような気がする。
といったって、ほんの4、5日の滞在でなにがわかるのか。
エゴいというのもたまたまそういうものに当たっただけかもしれない。
同行のメンバーからビールをすこし味見させてもらったことがある。
こちらも個性が感じられ、つまり軽めのラガーみたいだった。
日本はビール大国だそうだけど、女性むけに苦味を抜いた清涼飲料水もどきのビールが多いので、とくにそう感じたのかもしれない。
しかしとにかく、本物の呑ン兵衛でないわたしに酒の味についての話は手にあまる。
最後の晩に某有名日本食レストランで、マルタの鷹というワインを飲んだ話のほうが気が楽だ。
「マルタの鷹=MALTESE FALCON」 は、ハンフリー・ボガートの出演したハードボイルド映画である。 わたしの部屋にDVDがあるけど、傑作である。
じつはこの夜に手持ちのユーロが少なくなってしまって、どうしようか、もう 1回両替をしようかと悩んでいたら、同行のおばさんが、カードがあるでしょうと教えてくれた。
わたしは日本にいるとき、パソコンや音響機器などをクレジットカードで買ったことがあるけど、食事にカードを使うなんて発想がついぞなかった。
一方でパソコンを使うデジタル人間でありながら、もう一方ではカードもケータイもだめという矛盾した性格をかかえてるんだよ、ワタシゃ。
おばさんのアドバイスを聞いて、あ、そうか、そういう手があったかと安心して、それからは大船に乗ったつもりの大判ふるまいだ。
わたしの大判ふるまいなんてタカが知れてるけど、それでもこの晩は、カードなんぞ使いなれてるんだって顔をして、日本食レストランに繰り込んだのでありました。
映画のタイトルを冠したワインのほうは、ついお代わりをしてしまった。
お楽しみはこれからだぜ。
いや、そう思ったんだけどね。
ほろ酔い加減でホテルにもどるとき、同じツアー仲間の元気のいいおばさんたちには会いましたけど、ほかに妖しい美女もあらわれず、ボガートもどきはマルタ最後の夜を、部屋でひとりで枕をかかえてさびしく寝るしかありませんでしたとさ。
※ワインの写真がないので、某有名日本食レストランの前の海の写真です。
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