« お互いさま | トップページ | ヘビ »

2011年4月 3日 (日)

マルタ紀行/マルタの海辺

47a

半島のとっつきの海岸の磯でしばらくぼんやりした。
背後には城壁が圧倒するようないきおいで迫っている。
よく見ると城壁の岩のすきまにも雑草が顔を出していた。 つわものどもが夢のあとというのは、西洋でも通じる言葉のようだ。

47b

足もとの岩の上にどこかの観光客が彫ったのか、英文字が刻まれていた。
日本人の中にはノートルダム寺院に落書きをした人間がいたけれど、観光地に自分の名前を記録したいという人間はどこの国にもいるようである。
それが大きな問題になった日本と、しょうがねえ奴らだなですんでしまったフランスじゃ、発覚したあとの対応がだいぶちがうけど。

47c

また足もとの岩の中に、棘皮動物のものらしい化石がたくさん埋まっているのを発見した。
化石というにはちょっと新しそうにも見える。
比較的新しい時代にマルタで大きな噴火や地殻変動でもあったかなと考えてみたけど、そんな話は聞かないから、これはほんとうにマルタ騎士団や聖ヨハネよりはるかに昔のものなんだろうか。
足もとは天然岩のように見えるけど、ひょっとするとこれは城壁が建設された当時のコンクリートのようなものかもしれない。
そんなものがあったということや、そのくわしい製法はわからないけど、そういうものを練るときにまぎれこんだウニやヒトデの残骸のように見える。
どうも化石や博物学や、たとえば宮沢賢治が好きな人なんかには、興味のつきない海岸だ。

近くに釣り人もいた。
ナニが釣れますかと訊いてみたかったけど、英語で質問するのはむずかしそうだし、魚の名前なんか答えられてもわかるわけがないからやめておいた。
岩の上にパンくずがちらばっていたから、この釣りの餌はパンのようだった。
スイカを餌にする釣りというのを聞いたことがあるけど、それに比べればパンのほうがまともである。 魚よりハトがよろこんでいたみたいだけど。

47d47e

岩礁の上から海をのぞきこむ。
さすがは地中海のはしくれで、水はなかなかきれいである。
足の長いクラゲがただよっていたけど、こういうのは危険なタイプだ。
どうも大聖堂や要塞よりも、こういうものにひかれてしまうのがわたしの欠点である。

47f_247g

そろそろ帰ろうと、来た道をひきかえす。
岩礁からいちおう道路とよべる道あたりまでもどると、そのあたりの海岸に釣宿のようなほったて小屋がならんでいて、アヒルがうろうろしていた。
そんなほったて小屋の前で幼児が海をのぞきこんでいた。
岸壁上から海面まで2メートルぐらいある。
キミ、そんなところにいちゃあ危ないよと (日本語で) 声をかけたら、小屋から若い父親が出てきて、わたしを見てにっこりほほ笑んだ。
にっこりはいいけど、この調子じゃ年に5、6人は、海に呑まれる子供がいるかもしれない。
マルタもやはり自己責任の国である。

|

« お互いさま | トップページ | ヘビ »

旅から旅へ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マルタ紀行/マルタの海辺:

« お互いさま | トップページ | ヘビ »