マルタ紀行/マルサシュロック再訪の2
まぬけなわたしはマルサシュロックをぶらつく。
朝市はやってないんですかと尋ねたとき、そのへんにいた漁師が、魚がほしいのか、魚屋ならあっちにあると教えてくれた。
魚の買い出しにきたわけじゃないけど、どうせヒマなんだし、どんな魚が獲れるのかあくまで追求しようというので、教えてもらったほうへ行ってみた。
ちょっと裏通りに入ると、マルサシュロックはつまらない町である。
新しくも古くもない中途半端な住宅が並んでいて、人通りは少ないし、学校へ行っている時刻なのか、走りまわる子供たちの姿もない。
だいたい日本でもそうだけど、地方の漁師町なんて、平日の裏通りはたいていそんな静寂がみちているものである。
道路ぎわに保冷車が停まっていて、かたわらの路地から中年男女が出入りして、カチンカチンに凍った大きな魚の積み下ろしをやっていた。
これが教えられた魚屋らしいけど、看板も出てないし、店頭に魚がならべられているわけでもない。
なにか感想をといわれても困る状況なので、写真もろくに撮らずに町の中をぼんやりとひとまわりしてまた港にもどってしまった。
港の岸壁の上を歩きながら足もとを見ると、この朝網からはずされて、そのまま放置されたカニやゴカイなどの死骸が落ちている。
自然愛好家にとっては、こういうものの中にもおもしろいものが見つかることがあるものである。
と、そんなゴミみたいなものを漁っているのもわたしだけのようだった。
ある漁船のわきで漁師が小型のサメを解体していた。
そばへ寄ってシャークとつぶやくと、漁師は無言でうなづいた。
フカヒレならともかく、サメなんてあまり上等な料理になりそうもない。 マルタの人はどうやって食べるのだろう。 カマボコなんてあんのかしらと思う。
このあとはヤケクソで、海辺のベンチにすわって時をすごした。
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