« 被災地への旅/焦土 | トップページ | ブラック・スワン »

2011年5月16日 (月)

被災地への旅/大理石海岸

わたしの目的は、リアス式海岸の奥にある小さな集落の被害を重点的に見たいということなので、気仙沼から海づたいに北上することにした。
途中に大理石海岸という標識があった。
わたしの目的からすれば、理想的な小さな海岸のようである。

005a

国道からわき道に入り、のどやかな畑のあいだを海に向かって下る。
この海岸のそばには鍾乳洞や貝塚があったり、歴史以前から海産物の豊富なところとして知られていたらしい。
ただし、もともと人家の少ない小さな港なので、津波の被害はおどろくようなものではなかった。
山がすぐそばに迫っているから、警報が発せられ、逃げようという気持ちさえあれば、避難するのはそれほどむずかしくなかったようである。
沖には一隻の自衛艦が停泊しており、岩場にはカモメがとまっていた。
視線を遠くにやっているかぎり、あまりふだんと変わらない風景のように見える。
もちろん、視線を手もとに引き戻せば、被害の痕跡ははっきり見えてくる。
海のそばのつぶれた家のかたわらに、サクラなのかモモなのか、ピンク色の花が満開だったのが印象的だった。
持参した猫缶を食べさせる相手はいないかと注意してみたけど、そのあたりにネコもイヌも見当たらなかった。

005b_2 005c

海岸でぼんやりたたずんでいると、うしろからパトカーがやってきた。
こんな小さな被災地に用事があるようでもなかったから、ひょっとするとわたしのことを火事場泥棒とでも思ったのかもしれない。
そりゃまあ、不審者に見られても仕方ない人相風体をわたしはしてますけどね。
パトカーの中の警察官と顔をあわせると、雨が降ってますから気をつけてくださいと当たりさわりのないことをいう。
こんなところで警察官にたてつく理由はないから、アリガトウと、わたしもそつがない。
パトカーのナンバーを見ると宮城でも岩手ナンバーでもなかった。
県外からそうとうのパトカーが派遣されてきているらしい。

| |

« 被災地への旅/焦土 | トップページ | ブラック・スワン »

旅から旅へ」カテゴリの記事

コメント

危機管理のプロは、自警団の重要性を強調されているようです。
コソドロが跋扈しているとの報道はありますが、竹やりを持って不寝番をするような、いつか来た道的な話はNO!
さて、パトカーのおまわりさん、かなり気を使っていらっしゃいますよ。不審尋問を受けなかったのは人徳ではありませんか?

投稿: タマ | 2011年5月16日 (月) 20時51分

人徳ってのは、アレでしょ、真面目さがおのずとにじみでるような人のことでしょ。
いやらしさを期待して映画を観にいくワタシに人徳なんて。

投稿: 酔いどれ李白 | 2011年5月17日 (火) 05時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 被災地への旅/大理石海岸:

« 被災地への旅/焦土 | トップページ | ブラック・スワン »