被災地への旅/焦土
気仙沼港をあとにしてまもなく、車は潮の干満の影響をもろに受ける、海から近い川の橋の上にさしかかった。
潮の引いた川の中にスクラップになった車が見える。
写真を撮ろうとして川にそったわき道に入ったら、あとから重機を積んだ自衛隊の大型トレーラーがやってきた。
追い出されるようにまたべつの道に入ってしまった。
このあたりは気仙沼の鹿折地区というらしかった。
まわりをみて仰天した。
津波の爪痕がすさまじいだけではなく、この地区は火災にも襲われたらしい。
震災のあと各地で火災が発生したことは知っていたけど、道路が途絶した状態で炎をとどめるすべはまったくなかったようだ。
鹿折地区では町ひとつがそっくり燃えて廃墟になっていた。 その廃墟は映画「戦場のピアニスト」に出てきたワルシャワのゲットーを思わせた。
焼け跡はまだほとんど片付けられてなかったから、この地区だけでどれだけ多くの遺体が塵灰の下に埋もれているか想像もできない。
たまたまそのへんにあった歩道橋に上って、俯瞰写真を撮ることにしたけど、歩道橋の鉄のてすりもぐにゃりと曲がっていた。
津波に流され、火災に焼き尽くされ、鉄のてすりまで曲げられるなんて、まさに完膚なきまでやられたという感じ。
いったいナニが憎くてそこまでやるか。
歩道橋のてすりに寄せ書きのされた日の丸が掲げられていたのが、わずかななぐさめだった。
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コメント
毎日、必ず読んでます。
投稿: タマ | 2011年5月14日 (土) 20時25分
ありがとうございます。励みになります。
それにしてもわたしのブログにコメントを寄せてくださる方は、タマさんだとかポチさんだとか、ひょっとすると愛玩動物さんなのかしらと思ってしまいます。
さて、被災地にわたしが持参した猫缶はその後どうなるか。
もうすこし先までお楽しみに。
投稿: 酔いどれ李白 | 2011年5月14日 (土) 23時47分
期待しています。
投稿: タマ | 2011年5月15日 (日) 16時50分