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2011年5月18日 (水)

被災地への旅/防波堤の内と外

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前項にわりあい信心深そうな人からコメントがついたから、観音様のクローズアップも載せておこう。
彼女をここに立たせたのは、おそらくどこかのマスコミのカメラマンだと思う。
無残な廃墟の中の、慈悲深い観音像なんて、こんな皮肉な写真もないからね。
立たせただけで、それから 1カ月ちかくも雨風にさらされたまま放っておかれてるんだから、立たせた人が信心深いとはちょっと思えない。

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さて、わたしの北上はまだ続く。
ある港に寄ったときは、防波堤の内側に黒い瓦屋根がぷかぷかと浮いていた。
屋根だけらしかったけど、とりあえず手がつけられずにほうっておかれているらしい。それがあまりに原型をとどめているのが悲惨といえば悲惨。
その下に住人の遺体も放置されているんじゃあるまいかと、つい、わるい想像をしてしまう。
屋根の上にはカモメたちがノーテンキに群れていた。

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この防波堤の外側では、岬の先端の松の木に漁船が何隻かひっかかっていた。
船頭多くして船山に登るなんてことわざがあるけど、船頭がいなくても船が山に登っちゃうことがあるんだね。

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瓦礫の中には、貯金箱にでもなっていたらしいお人形さんが転がっていた。
その可愛らしさから、つい持ち主に小さな女の子を想像しちまうけど、彼女はどうなっただろう。 無事でいてくれればいいが。

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