被災地への旅/廃車と砂塵
海岸通りに廃車の集積場があった。
廃車置き場なんてものは地方にいくとよく見かけるけど、たいていは畑や住宅のあいだの空地なんぞに、ホコリだらけの古い車が積まれているという感じである。
しかし陸前高田で見たものは、積まれた車が徹底的にクシャクシャという点がちがっていた。
まるで日本車叩きにあって、よってたかってハンマーでぶっ壊された車のようである。
わたしは震災直後に大量の車が押し流されていくニュース映像を見て、これじゃあ車メーカーにとっちゃ震災特需が起こるんじゃないかと想像した。
ところがじつは、車の部品メーカーは東北にも多く、それらが壊滅状態になって、特需どころか製造もままならないという。
日本のメーカーは外国に生産拠点を移しているところも多いけど、それも日本からの部品の輸出が滞って、ヘタすれば外国企業にシュアを奪われそうだというから、メーカーにとっちゃ踏んだり蹴ったりだ。
ですから、いま車を申し込まれても、到着するのがいつになるかさっぱりわかりません、困ッテイマスと、これは近所のトヨタ販売店でわたしの車を担当しているS嬢の話。
ちなみにS嬢は、たまにこのブログにも登場するけど、ぽっちゃりしたまだ女子大生みたいな娘で、わたしは彼女のために新車をどさどさ購入してやろうといつも考えているのだが、先立つものがないので断念しているのである。
このブログの写真をよく見ると、天気のよくない日に撮られたものとよい日に撮られたものが混在してるけど、これは帰りも同じコースを走ったので、写真が2日間にまたがっているからである。
この旅では、往路は雨あがりのさえない日だったけど、帰りはとてもいい天気になったのだ。
しかも帰りは強風の吹き荒れる日だった。
こうなると陸前高田市は茶色い砂ぼこりにおそわれる。
津波の日も、人々がまず目にしたのは、海側から建物を押しつぶしながら迫ってくる猛烈な砂ぼこりじゃなかったろうか。
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