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2011年6月 3日 (金)

被災地への旅/墓地

帰りに陸前高田のあたりを走っていたら、山側の、すこし高くなったところにお墓が見えた。
はたしてご先祖さまたちは今回の震災をどう思っているのだろうかと、ちょっと寄ってみることにした。

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お墓のまわりも瓦礫の山である。
お寺らしい建物がかろうじて残っていたけど、その門の前に生えていた松の木もぶっ倒れて、枝の先にゴミがひっかかっていた。 門のわきに立っていた大きな仏像もひっくり返っていた。
手のつけられない惨状だ。
ゴミのあいだをぬって墓地に近づいてみた。
墓地は山の斜面に造成されてるんだけど、下部の土がざっくりえぐられて、火葬でなければ昔の人の頭蓋骨が転がり出していてもおかしくない状況だった。

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お墓のあいだに立ってまわりの被災地をながめる。
いやはや、きれいさっぱり。
自分の子孫たちがこんな残酷な災害に遭遇して、ご先祖さまたちはなにかいうことはないのだろうか。
ご先祖さまたちが連判で神さま (仏様でもいいけど) に嘆願書を出して、もうちっと手加減をとお願いすることはできなかったのだろうか。
震災にあった人の中には、なにをさておいてもご先祖さまの位牌を持ち出したという人も多いけど、そうした敬虔な気持ちにどうして応えなかったのかと、わたしは仏さまたちを責めたくなってしまう。
いやいや、死んだ人たちにはこっちが思っているほどの政治力はないのかもしれないなと、無神論者でバチ当りのわたしは、墓地でいろいろ考えてしまったのである。

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