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2011年6月 6日 (月)

被災地への旅/落し物

022

今回の津波の報道写真の中でも、とくに印象に残っているものに、瓦礫の山の中で若い女の子が地面にぺったり座りこんで泣きじゃくっているものがある。
彼女は長靴をはいていたようだから、たぶん被災の数日後に自分の家のあった場所を訪ねてきて、そこにあったはずの自宅が消滅していることに、そして家族がひとりも見当たらないことにショックを受け、その場にへたりこんじゃったらしい。
気のドクともなんともいいようのない写真である。
会社から帰ってみたら、当然あるはずのわが家や家族が消滅していたら、男のわたしだって途方にくれてしまうだろう。

津波の跡地では洗濯機、冷蔵庫、自転車、車椅子、醤油のペットボトルからスプーンまで、いろんなガラクタを見たけど、そのほとんどが、震災の当日まで確かにそこに存在した人間の生活を物語っていた。
この紀行記もそろそろ終わりに近いけど、ここでは一瞬のうちに消えてしまったそうした生活の痕跡を紹介しよう。

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