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2011年7月18日 (月)

皮肉とユーモア

新聞の投書欄をながめていると、皮肉とユーモアを愛する当方としては、なかなか興味のある投書にぶつかることがある。
他人の意見のあげ足をとるのは本意じゃないけど、たとえば今日の投書欄。
大学の教員という人が、原発事故について
「原子力災害は他の災害に比べて決定的に異なる性格をもつ」
「それは(災害を受けた土地が)復興できないことである」 と書いている。
つまり放射能は長期にわたって地表を汚染し、除去することができないといいたいらしい。
しかし、この投書はさらに続けて
「広島、長崎を経験した国民として、いまこそ核の恐ろしさを再認識すべきだ」 と書く。

わたしは若いころ、広島の原爆ドームを見学したことがある。
当時からすでに広島の中心部には人々が住んでいた。
原爆がさく裂し、黒い雨が降ってから、ものの20~30年ばかりで、街の中心部にすでに人間の生活が復興していたのである。
だからこの投書には矛盾した箇所がある。

投書のもうひとつはビジネスコンサルタントという人のもので、この人はドイツのメルケル首相の政治判断の早さと比べて、菅首相が4カ月もたってから脱原爆宣言をしたのが遅いと非難の論調。
そしてこの投書は
「わが国の原発問題は、詳細な検証と国民的議論をへて決定されるべき」 だと続く。
詳細な検証と国民的議論なんかしていたら、決定なんか4、5年先になってしまうだろう。
この投書氏は、菅首相の宣言が遅いと非難しておきながら、自らはさらに果てしない決定の先延ばしをいってるのである。

うーむ。
朝日新聞はヒトがわるいから、わざとこういう矛盾した投書を載せて、読者をニンマリさせることを狙っているのかもしれない。

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