不都合な時代
近所の公園で見かけた女の子である。
ぜんぜん関係のない、赤の他人の娘だけど、いまどきこんな写真はなかなか撮れない。
というのは、よそのおじさんが幼女にカメラを向けると、すぐに警戒する親がいるからだ。
失礼な。
世間にそんなに変態ばかりがごろごろしていてたまるか。
と書こうとしたけど、考えてみると世間に変態は少なくないような気がする。
とくに現代では、小さな女の子をひとりで遊ばせるのは、トラのいる森へ子供を放つようなものになってしまった。
だから親御さんが心配する気持ちはよくわかるけど、かわいい女の子をみるとすぐに写真に収めたくなるわたしのような人間には不都合な世の中になったものだ。
きれいな花や景色を写真に収めたいという人がいるように、かわいい女の子がいれば写真に撮っておきたいというのが人情ではないか、という理屈は通らない時代になってしまった。
しかし、この女の子の写真については誰からも文句はくるまい。
彼女が順調に大人になったとすれば、すでに子供がいて、いや、孫がいたって不思議じゃない歳のはずだから。
つまりこの写真は、見ず知らずのおじさんがよその女の子の写真を撮っても、文句をいわれることのなかった時代の記念碑みたいなものなんである。
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