田んぼのカエル
うちの近所の里山にいく。
ここには田んぼがあって、6月に田植えされたイネの苗がすくすくと育っている。
そんなイネの上をもうトンボが飛びはじめた。
わたしはイネの根もとをのぞきこんで、ちょっとさびしいなと思う。
わたしの生まれ故郷は関東平野の北のはずれで、子供のころはとにかく水田の多いところだった。
水田にはおびただしいカエルが生息していた。
どのくらいおびただしいかというと、いまの都会の子供たちには想像もできないだろうけど、1平方メートルに5、6匹ぐらいの密度といったらいいだろうか。
わたしたちはよくザリガニ釣りにも行ったけど、餌なんか何も持っていかない。
田んぼでカエルを捉まえて、それを地面にたたきつけ、体をばらばらにして、その足を餌にすれば間に合ったから。
そのくらい、カエルなんていくらでも捉まえることができたのである。
カエルの足でザリガニを1匹釣り上げれば、今度はサリガニをばらばらにして、その尻尾を餌にすることもあった。
いま思うと残酷なことをしたものだけど、当時の子供たちにはまったくふつうのことだった。
だからわたしは田んぼを見るたびにおびただしいカエルのことを思い出してしまう。
残念ながらうちの近所の田んぼにはカエルは生息してないようだ。
ザリガニはいくつか見受けられるようになったから、近所の里山でも生きものはすこしづつ回復しつつあるようだけど、両生類の復活はまだまだむずかしいようだ。
カエルのいない田んぼというのはさびしいものである。
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