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2011年10月31日 (月)

また京マチ子

この土日は、安い刺身を買ってきてイッパイやるという、そんなささやかな庶民的幸せをかみしめつつ、読んでいたのは図書館から借りてきた川本三郎サンの 「今ひとたびの戦後日本映画」 という文庫本。
川本三郎サンというと、最近では右翼雑誌SAPIOに連載中の映画批評を読むくらい。
そちらはあんまり感心しないけど、これはどうも最近の映画にまともな批評に値しないものが多いってことらしい。
アホらしい映画でもいちおうもっともらしい批評をしなくちゃいけない批評家にこそ同情すべきだったのだ。

今回、借りてきた本はなかなかおもしろかった。
「青い山脈」 や 「東京物語」、「羅生門」、「浮雲」、黒澤明、小津安二郎、成瀬己喜男、原節子、高峰秀子、京マチ子なんて名前に愛着を感じているので、そういう名前がぽんぽん飛び出してくるだけで楽しい。
ことわっておくけど、わたしはそんな映画をリアルタイムで観たっていうほど年寄りじゃないからね。

なかでも 「羅生門」 に出演していた京マチ子についての見立てなんかナルホドと思わせる。
彼女は戦後の日本にあらわれた最初のハリウッド型女優、オッパイが大きく、腰のくびれたグラマーなんだそうだ。
そういう彼女だから 「赤線地帯」 では、マンボズボンの現代的なはすっぱ娘を演じてまことにさまになる。
そんな彼女が、一方では 「羅生門」 で古風な日本女性、それこそ平安時代の女性でも演じることができた。
わたしは古いビデオやDVDで彼女を観て、いい女優さんだなと思っていたから、ナルホド、ナルホドと川本サンの意見に賛同してしまう。

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「羅生門」 では男を狂わせる魔性の女という解釈もナルホドである。
この映画では彼女をレイプする山賊、縛られたままそれを見つめる亭主という2人の主要人物が登場するけど、この2人の役柄は終わりまでぜんぜん変わらないのに、京マチ子だけは、見る人によって貞淑な人妻から、亭主をうらぎる悪妻、最初は抵抗するくせにすぐその気になっちゃう本能むきむきのオンナなど、ひとりで演じわけてみせる。
添付した画像は映画のワンシーン。
オネガイ、捨てないでーって袖にとりすがっているけど、こういうのが危険なのである。

京マチ子は映画の中で同性からズベ公だとかパンスケなんてののしられ、「あにおとうと」 の中では兄貴役ととっくみあいのケンカまでしているそうだ。
さいわいなことにわたしは、ここに挙げた古い映画は、テレビで放映されたものをみんな録画して持っている。
そういうわけでこの週末は、片目で文庫本を読み、もういっぽうの目で古い日本映画を鑑賞し、京マチ子という女優についてしみじみ思う日々でありました。

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