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2011年10月 7日 (金)

デリー6

D6b

録画機の中にどんどん映画がたまってしまう。
観る時間がないのに、いちおう録画しとけってことが多すぎるからである。

アジア・フィルム・フェスからの 「デリー6」 という映画を観た。
知る人ぞしる映画大国インドの映画だけど、米国帰りの青年が故国インドでいろいろカルチャー・ショックに遭遇するという、能天気なミュージカルじゃなくけっこうまじめな映画である。
主人公の独白から始まって画面の色調まで、のっけから哲学的雰囲気がふんぷんなので、積極的に観ようって気になれないのが難点だけど。

見どころはインド人が撮った本物のインドの情景と、滝川クリステルみたいなえらい美人の女優さん。
現代のインドが舞台だから、パソコンを使ったテレビ電話が出てくるし、テレビでは月ロケットの打ち上げ実況もやっている。
そんな近代的な面もあるくせに、棄民とされるカースト制度の最下層に属する女 (これがまた美人なのだ) も出てくるし、いまだに強権をふりまわしワイロを要求する警察官、そしてむかし椎名誠もおどろいていたけど、インドの女性はいまでもみんな伝統のサリー姿だ。
とにかくインドというのはなにがなんだかわからない国なのだ。
米国帰りの青年のおどろきは、たぶんはじめてインドへ行く日本人のおどろきでもあるだろう。
インドは暑いからと敬遠していたわたしもインドへ行ってみたくなった。

映画では、しまいに魔物の迷信におびやかされ、それが民族対立の騒動に発展したりする。
つまりこれはそういう映画、近代的でグローバル化されたインドが抱える現状や矛盾を告発する映画なのだ。
そう考えるとそれほど哲学的っていうほどの映画でもないし、わたしのキライなCGもところどころに使われているみたいなのが気にくわない。
わるい映画とはいわないけど、インドが舞台の映画では、わたしにはデヴィッド・リーンの 「インドへの道」 のほうが、まだ奥ゆきやゆとり、詩情というものがあってエエと思う。

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