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2011年10月14日 (金)

運動靴と赤い金魚

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イランの映画で 「運動靴と赤い金魚」 という映画がまた再放送された。
1997年の映画だから最近の映画ではない。 わたしが市販されているこのDVDを買ったのもかなり以前の話である。
映画の内容は、家が貧しくて運動靴を買ってもらえない兄妹が、1足の靴を交互にやりくりしているうち、マラソン大会で優勝者に賞品として靴が出るということを聞きつけ、お兄さんの大奮闘ってことになるもの。
スポ根ものというより、兄妹愛をほのぼのと描いたたわいない話なんだけど、じつはストーリーなんかどうでもいいのである。

おもしろいのは、イランの小学校のようすや家庭でのありさまなど、子供たちのふだんの生活がくわしく描かれているところだ。
イスラムの国では徹底的にキリスト教制度を否定しているので、十字架はご法度、赤十字社は赤新月社となって三日月をマークにしていることはご存じのとおり。
学校も日曜日ではなく、イスラム安息日の金曜日が休みだそうだ。
学校では小さな女の子までみんな肌をみせないユニフォームで、マグナイと呼ばれるずきんをかぶっているけど、これがなかなか可愛くていい。
このブログではイスラム女性の美しさをしょっちゅう賛辞してるけど、さすがに栴檀は双葉よりかぐわしく、イランの女性は小学生のころからもうカワイイのである。

例によってわたしは背景にも注目していた。
さしあたってイランに出かける予定のないわたしには、映画はそのままバーチャルな海外旅行である。
この映画では市中の靴の修理屋、むかしながらの自家製パン屋、八百屋、ゴミの回収屋、路地で遊んだり家で宿題をする子供たち、どこにでもあるような家庭内のトラブルなど、ふつうの観光旅行では見られないイランの庶民の生活がよくわかる。
また、お父さんが家で大量の角砂糖を作っている場面があって、イスラムの人びとは酒を飲まないから、これは宗教ごとの集まりで出す紅茶に使うものだそうだけど、異文化のそんな変わった風習をみるのも楽しい。

イランというと、つい抑圧的な国というイメージだけど、さすがに小学校ではそんなことはなくて、子供たちは親や社会、国家から大切にあつかわれ、教育制度も欧米先進国にまけないくらい充実しているようだ。
家族のきずなの強いことや、どことなくのんびりした生活ぶりなども、なんて幸福な国なんだと思えてしまうくらいである。幸福にもいろいろあるものだとあらためて考えてしまう。
イスラム圏の映画だから、くっついたのはっついたのっていう刺激的な部分はぜんぜんないけど、そんな映画氾濫の昨今からすれば、これは傑作といわないまでも、じつに幸福な気分にさせてくれる佳作だと思う。

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