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2011年12月12日 (月)

田舎にて

田舎に帰省してきた。
やぼ用をすませたあと、農家をしている親戚に上り込んで懇談する。
この親戚はわたしが子供のころ、いや、赤ん坊のときから慣れ親しんだ家で、というのはわたしはこの家で生まれたのである。
そういうわけでいまでもいちばん親しみを感じる親戚なんだけど、ご多分にもれず後継者不足に悩んでいる。
所帯主はベテランといっていい農民だから、いろいろ現代の農家がかかえる問題などについて話した、というと聞こえがいいけど、わたしに理解できたのは出荷時のお米の値段がいくらいくらで、路地栽培の野菜でおぎなわなければとっても生活できませんということぐらい。
都会で気楽なサラリーマンをしている部外者には、あいづちをうつくらいしか対処しようのない問題なので、適当なところで水を差して昼メシをごちそうになる。
ただいま胃ガンを心配中のわたしだけど、つい茶碗に2杯もおかわりをしてしまった。
そんなわたしに、アレも食えコレも食えといってつぎからつぎへとお菓子や果物が出てくる。
田舎の人は親切なんだけど、わたしみたいな小食の人間には荷が重い。
田舎の人の習性、他人のうわさ話やつまらない見栄、他人に対する嫉妬心、そんなせせこましい話も荷が重い。
人間ギライの当方としては、そんな面倒なしがらみばっかりの生活はとても勤まりそうもない。

ご飯をいただきながらわたしが思ったのは、この家で過ごしたなつかしい日々のこと。
カヤふき屋根だった家のこと、ススでまっ黒になった天井の梁のこと、踏み固められた土間の土のこと、柱にまかれたワラ束に何本もの鎌が差してあったこと、同じ屋根の下にウシが飼われていたこと、庭にうず高く積まれた堆肥のこと、はなれの二階に枝をのばして美味しい実をつけたビワの木のこと、井戸水で炊いたご飯の独特の味わいなど、そんな江戸時代から連綿と続いていた古い農家の生活である。

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