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2012年1月25日 (水)

小宰相

今年のNHK大河ドラマは「平清盛」だそうである。
映像が汚らしいとどこかのエライさんがいって、そんなことはないと反論が出て、なんかごたごたしているみたいだけど、わたしは大河ドラマをぜんぜん観ないからよくわからない。
それでも歴史は好きだから、またなんか書こうかと考えた。
平清盛って人が世間でいわれているような暴君ではなく、政治家としてはなかなかの人物であったことぐらいは、わたしもこころえている。
しかしそれ以上特別な関心もないので、彼について書くのはやめて、「平家物語」って本について書いてみよう。
「平家」の巻9の中に『小宰相』という章がある。
シェークスピアよりずっとむかし、日本にこんな悲しい恋の物語があったのだということを。

小宰相なんていうと政治家みたいだけど、これは平通盛(みちもり)の若奥さんで、宮中一の美女とうたわれていた女性のことである。
亭主の通盛って人は、「平家」にうじゃうじゃ登場する平(たいら)という姓の人物の中ではそれほど重要な人ではないし、命より名誉を重んずる体育会系の侍たちのあいだでは、わりかし女性的なやさしい男性だったようである。
こういう人でも本家が戦争を始めれば、やっぱり一門のはしくれとして、出陣しないわけにはいかない。
彼は一ノ谷で義経のゲリラ作戦に敗れ、首を取られてしまった。
なにしろ相手の源氏の侍というと山奥の熊狩り猟師みたいな荒くれ男ばかりだから、お公家さん化した平家のやさ男が勝てるわけがない。
旦那が討死したことを聞いた若奥さんは、そのころ船で壇ノ浦あたりを漂泊していたのだけど、悲嘆のあまり海に飛び込んで自殺してしまうのである。
このあたり「平家」の中ではもうすこし詳細に語られている。
彼女は妊娠中だった。

くりかえすけど、ロミオとジュリエットよりはるかむかしの話である。
「平家物語」というと、首を取ったの取られたのという勇壮な話が多いけど、中にはこんな純愛の悲恋物語もあるのだということを、すこしでも多くの日本人に知ってほしいと思う。

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