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2012年2月 8日 (水)

昭和の映画

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録画しておいた 「おかあさん」 という映画を観た。
1952年の映画だから、まあ、かなり古い映画である。
出演は田中絹代や香川京子など、いまどきの若者には知識も興味もなさそうな人ばかりだ。
だから役者に興味をもってこれをご覧なさいとはいわない。
最近 「三丁目の夕日」 なんてわるふざけみたいな映画が話題になっているけど、昭和ひとむかしの日本の風景が見たいなら、そのころ作られたこういう映画を観るほうがまちがいない、といっておこう。

「おかあさん」 に出てくる風景は、これすべてCGじゃない本物の昭和の風景で、団塊の世代にとっては涙がちょび出るほどなつかしいものである。
まだ舗装されてないジャリ道や、まるで新開地のようなバラックふう商店街、うすっぺらな板張りの塀、上からカレンダーかなんかをあてて破れをかくしたふすまや障子のある屋内、井戸の手押しポンプなどなど。
風景だけじゃない。
丸いちゃぶ台を囲んでの食事風景や、家族全員が布団をしいて川の字で寝るシーン、演芸大会のある縁日のようす、まだ生息していた純情可憐な女の子など、当時の人間の生活ぶりをふりかえると、現代の日本が同じ国とはとても思えない。
ああ、そうだ、こんなものもあった、あれもあった、これはまるでうちの近所の景色そのままじゃないかって、じっさいにそのころの景色をほんのすこしだけおぼえている当方としては、観ていて熱いものがこみあげることしきり。
それが、なんかふざけた国になっちゃったなと、ひとりで怒り狂うこのごろであります。

ちなみに香川京子さんてまだ生きていて、今日も朝日新聞の夕刊になにか書いていた。

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