白鳥の湖の1
バレエを観てきた。
ロシア旅行がフイになったのでヤケクソってわけじゃないけど、来日中の本場ボリショイ・バレエの 「白鳥の湖」。
いま公演中の演目には、ほかに 「スパルタカス」、「ライモンダ」 がある。
しかし 「白鳥の湖」 は音楽だけ聴いていても楽しめるので、バレエ初心者が観るならなんといってもこれだ。
このバレエは、1877年のボリショイ劇場が初演だったそうである。
ただし、わたしはバレエについてエラそうにうんちくを垂れるほど詳しいわけじゃないから、この記事は大相撲観戦に続く、しろうとによるしろうとのための野次馬見聞記だ。
わたしが買ったくらいだから、東京文化会館におけるわたしの座席は天井桟敷みたいな場所で、とうぜんステージははるか彼方にかすんでいた。
ダンサーの表情なんかぜんぜんわからない。
こんなこともあろうかと、わたしはバードウォッチング用の強力なニコン双眼鏡を持ち込んだのだ。
おかげでそうそうたる八頭身美人たちの、表情や細かい動きも手に取るよう。
しかも天井に近いわたしの席からはオーケストラボックスの中まで丸見えだ。
もしかすると (なにしろバレエってのは大所帯で費用がかかるもんだから) テープを流してごまかすんじゃないかと疑っていたボリショイ管弦楽団も、ちゃんとロシア人演奏者がモスクワから出張してきていたようだ。
指揮者はインド人みたいな小太りの男性で、フルート奏者の女の子はなかなかの美人であったことも一目瞭然。
このバレエは悪魔によって白鳥に変えられたカワイ子ちゃんと、タイツをはいた王子さまの恋物語だけど、ストーリーはなんかわかりにくかった。
劇のとちゅうで悪魔にあやつられた黒鳥のカワイ子ちゃん (ヒロインの2役) が現われて、王子さまをたらしこんでしまう。
してやったりと踊りながら、流し目で王子さまを見つめる黒鳥さんの妖しい微笑みが、ゾっとするほど魅力的だった。 というのは双眼鏡で確認したのである。
ヒロインを演じたのは、マリーヤ・アレクサンドロワという人だけど、プリマをめぐる激烈な競争に勝ち抜いてきたという自信と誇りがありあり。 これも双眼鏡で確認した。
なんせ映画 「ブラックスワン」 を観たあとだから、わたしは舞台裏については詳しいのである。
白と黒の衣装をとっかえひっかえするヒロインの舞台裏を想像するのもタノシイ。
ところが白鳥さんと再会した王子さまは、ふたたび、こっちのほうがいいやと黒鳥さんをそでにしてしまう。
再会していっしょに踊っただけで、なんでよりがもどっちゃうのか、このあたりの事情が男女の機微に不慣れなわたしにはさっぱり。
ヒロインが2役なので、観ているほうにはどっちも瓜ふたつの美人だからなおさら。
でも、まあ、いいことにしよう。
バレエは踊りを観るためのもので、ストーリーなんかどうでもいいのである。
というわたしの意見に賛同できない人は、どうぞご随意に。
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