イスタンブール/アルバトロス
旅行会社に安いホテルをみつくろってもらい、いくつかリストアップしてもらった。
安いといってもわたしはいちおう勤労者で、日本の民宿ていどの料金なら払えないこともないから、ドミトリーや、東南アジアによくある貧乏旅行専用の木賃宿みたいなものは遠慮することにした。
貧乏人のわたしは、五つ星ホテルに泊まり、美味しい御馳走を食べ、ブランド商品をあさるような旅行にはぜんぜん縁がない。
そうかといって、いかに安い費用で上げたかということを自慢するような旅もしたくない。
旅先では、必要ならタクシーを借り切って名所を観てまわることもするし、たまにはレストランでワインを飲んだりする。
浪費する金はないけど、必要と思えばそれなりの金を使う。
つらつら考えてみると、海外でもわたし程度のレベルの旅をする人がいちばん多いのではないだろうか。
さて、宿屋の手配である。
リストアップしてもらったホテルについて、ネットでいろいろ調べてみた。
わかったことは、まずイスタンブールにはホテルがやたらめったら多いということ。
ヨーロッパの人たちから見ると、イスタンブールは欧州とアジアをむすぶ架け橋みたいな位置にあり、そのオリエンタル・ムードがとても魅力的に映るらしい。
しかもイスラムの国でありながら、いちおうは自由主義国で、英語も通じるし、イラクやアフガンみたいに危険な国でもなく、車でそのまま出かけることも可能だから、異文化を体験するのにこれほど便利な国はない。
そういうわけで観光客が押し寄せる。
とうぜん資本主義の論理によって、ホテルが乱立することになるのである。
観光客にとって、ホテルの選択肢はピンからキリまで、ありすぎて困るくらいだ。
リストの中で 「アルバトロス」 というホテルが目にとまった。
ネットに載った写真で見ると、木造で、古い船員宿みたいなユニークな建物である。
場所もわりあい海岸に近いところにある。
ただし、わたしの知っているかぎり、イスタンブールは海辺のリゾートではないから、海岸の風景はあまりきれいなものではない。
だからこそ、捕鯨船に乗り組むために、ナンタケットの港町で宿屋をさがすイシュメールみたいな気分を味わえるのではないか。
うん、これにしようと、わたしはけっこうロマンチストなのである。
ところがさらに調べてみたら、このホテルとほとんど同じ場所に、「アルバトロス・プレミア」 という別のホテルがあることがわかった。
こちらは3階建のきれいな石造りの建物だ。
場所が同じってのはどういうことか。
もしかすると新館と旧館なのかもしれないけど、ネットに同時に載っているから、まさか改築前と改築後ではないだろう。
わからないまま木造のほうにしてもらったら、旅行会社の担当がパソコンをがちゃがちゃさせて、こちらはウチと取り引きがないみたいですよという。
そんならリストに載せるなとぼやいてみたものの、仕方ないから石造りのほうにした。
事情がよくわからないホテルっていうのも、行き当たりばったりみたいでおもしろいではないか。
※写真の左が木造、右が石造りの 「アルバトロス」。
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