イスタンブール/彷徨(ぶらぶら)
イスタンブールは歴史のある街で、トプカピ宮殿やアヤソフィア、スルタンアフメット・ジャーミー (ブルーモスク) など、名所旧跡が多い。
あいにくわたしはそういうものにあまり関心がない。
関心のある人にとっては、ホテル・アルバトロスは便利なところだ。
朝の散歩で海辺に行ったわたしは、帰りにぶらぶら散歩していて、ちょいと坂道を上がったら、もうそこがブルーモスクのわきの広場であることに気がついた。
ホテルからブルーモスクまで徒歩5分というところである。
ブルーモスクのとなりがアヤソフィアで、その向こうはトプカピ宮殿だ。
そんな最高の地の利の場所にあるせいで、アルバトロスのまわりにはほかにもホテルがたくさんある。
ただ、付近の環境が貧しい、古くからある住宅街って感じで、ガイドブックの中にはちょっと治安がわるい場所なんて書かれていることもある。
わたしはけっしてそんなふうに思わなかった。
ヒマなおりに何度かそのへんの路地を歩きまわってみたけど、危険なんかぜんぜん感じなかった。
いちど、手ぶらで歩いていたら、黒い革ジャンの2人組に呼び止められたことがある。
一瞬、来たかと身構えてしまったけど、スイマセン、×××はどうやって行くんですかだって。
わたしもエラくなったもんだ。
そんな地の利のいいホテルに泊まっているくせに、今回の旅では名所旧跡よりも、ふつうの、なんでもない通りを見て歩くことのほうが多かった。
異国の、日本とはぜんぜん異なる風景の街をさまよっているのはとても楽しい。
こういう性格はけっしてわたしひとりのものじゃないと思う。
NHKテレビの紀行番組に 「世界ふれあい街歩き」 というのがあって、この番組の旅はわたしの旅によく似ている。
ただもうだらだらと歩きまわり、名所旧跡にはあまり立ち寄らないくせに、生鮮市場やちょいとした商店、そのへんのふつうの人々との会話にすぐに道草するところが。
ネットなとで見るかぎりこの番組の評判はいいようだから、世間にはこういう旅を愛する人も多いということなのだろう。
孤独というものに愛着を感じる人にとって、話し相手もなく、地理もわからないまま、ありきたりの町並み、市井の人々の生活空間を、ぼうっとながめているほうが楽しいということは、まぎれもない事実なのである。
ここではホテル・アルバトロスの近所の景色を、4回に分けて紹介してしまう。
古い地区らしく石畳が立派で、木造建築が多いこともよくわかる。
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