博士の異常な愛情
わたしが知っているかぎり (またつまらないことをおぼえてといわれそうだけど)、これまでいちばん長い映画のタイトルは『マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺』 というもので、英語で書くと
THE PERSECUTION AND ASSASSINATION OF JEAN-PAUL MARAT AS PERFORMED BY THE INMATES OF THE ASYLUM OF CHARENTON UNDER THE DIRECTION OF THE MARQUIS DE SADE となる。
このブログに書くと4行になってしまう。
ただこの映画は1967年の映画だから、その後もっと長いタイトルがあらわれたかどうかわたしは知らない。
この映画が登場するまでのタイトルホルダーが、キューブリックの『博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』で、英語にすると
DR. STRANGELOVE: OR HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB
ということになる。
そんなことは映画ファンなら誰でも知っている。
わたしがいいたいのはタイトルの長さではなく、今日BS放映された『博士の異常な愛情』が映画史に残る傑作であるということ。
それも映画ファンなら誰でも知っていることだけど、内容は喜劇なので、こういうセンスが苦手な日本人の中にはふざけてると思う人がいるかもしれない。
そんな映画をベタ褒めすると、浮き上がってしまうおそれがあるので、ここでは作家の開高健さんも激賞していたといっておこう。
この映画ではピーター・セラーズのひとり三役がよく知られているけど、わたしがスゴイと思ったのは基地司令官を演じるスターリング・ヘイドンの発狂ぶり。
だいたいセラーズって人の演技はちょっとクサいところがあって、わたしはあまり好きじゃないんだけど、ヘイドンのそれは、慌てず騒がず、冷静なようでいて、しだいにおかしくなっていく人間を演じてじつに見事。
わたしが初めてこの映画を観たのは、三鷹オスカーっていうとっくになくなった名画専門館で、まったく予備知識なしに入ったんだけど、映画のラストシーンでいきなり画面が切り替わって、ヴェラ・リンの 「また会いましょう」 って歌が流れたとき、わたしは不覚にも涙を流してしまった。
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