イスタンブール/水道橋
長らく書きつづってきたけど、イスタンブール紀行もいよいよ終章に入りますからね。
ホテル・アルバトロスからイギタルプに移動したとき、近くに古い水道橋があるのを見たけれど、これはヴァレンス水道橋というものだった。
似たようなものはローマやスペインにもあり、そういうものを写真で見たことがあるから、水道橋ということはすぐわかった。
イスタンブールのそれは、完成したのが西暦378年だというから、まだキリストが死んで間もないころではないか。
ホテルから近いので、夜のベリーダンスまでの時間つぶしに、この橋の見学に出かけてみた。
ホテルのわきの通りをいくと、つきあたりにシェフザーデバシュ・ジャーミー (あいかわらず舌を噛みそう) というモスクがある。
2本ミナーレだけど、威圧されるようななかなか立派なモスクである。
じつはこのモスクに入ったのは、歩いているうちオシッコが近くなって、トイレを借りるためだった。
トイレは塀にかこまれた境内のすみっこのほうにあり、トイレ先進国の日本人からみると、ひとむかし前のトイレという感じ。
ふだんは使用料の徴収人がいるみたいだったけど、このときは誰もいなかったから金を払わなかった。
こういうのも観光の一環になるのかしら。
境内に太い幹を持った古木があった。
こんな木があるということは、トルコ人がむかしから樹木を大切にしていたことの証しである。
戦乱に明け暮れ、無政府状態が何度もあった中国なんかでは、どさくさにまぎれて材木にされることが多かったようで、このようなりっぱな木はほとんど見られない。
アンズのような白い花をつけた木もあった。
足もとにはクローバーが敷きつめられていたけど、葉のかたちが日本のものと違うような気がする。
このモスクに対面してイスタンブール市庁舎があった。
日本にもいくらでもあるお役所的建物だけど、ここを警備するガードマンは本物の自動小銃を携えていた。
カッコいいなあって、こういうのも観光の一環になるのかしら。
獅子ににらまれても動じないネコの写真はこの市庁舎で撮ったもの。
さて、水道橋である。
これはもう見上げるような建造物で、それなり見応えがあるけど、上に登るのは禁止されているそうで、下からながめていると、けっきょくそれだけで終ってしまい、なにか書こうと思うけど書きようがない。
ただ、わが日本の徳川幕府もそうだったけど、まじめな為政者にとっては、大都市に水を供給するにはたいへんな手間をかけたんだなって思ったくらい。
わたしの紀行記では学術的、歴史的なことにはできるだけ触れないことにしているし、文章で書くより1枚の写真のほうが雄弁に物語るだろうから、ここは簡単に写真を見せるだけでオシマイにしよう。
橋げたのあいだから、はるか遠方にノッポビルがならんでいるのが見える。
橋げたのあいだをバスでさえくぐり抜けていく。
そんな光景をながめながら、さすらいの日本人は途方に暮れるのでありました。
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