イスタンブール/旅の終わり
イスタンブールとお別れの日。
飛行機の時間は17時すこしまえである。
時間がありすぎるので、午前中にひとっ走り、トラムでブルーモスクのあたりまで往復してきた。
前日に見かけたギャラリーで、筆でさっと仕上げたセマーの絵を買ってきたのはこのときだ。
グランバザールものぞいてみたけど、荷物になるだけなので、もうみやげも買う気にはなれない。
ふたたびトラムでホテルにもどった。
これでイスタンブールカルトも使い納めである。
カルトは16リラ分くらい残っていて、これはまた引き取ってもらえるそうだけど、いい旅の記念になるから日本に持ち帰ることにした。
ホテルのチェックアウトは12時なので、ぎりぎりまで部屋でねばる。
チェックアウトの手続きをしたとき、タクシーを呼びましょうかといわれたけど、まだ飛行機の時間まで5時間もある。
いえ、メトロで行きますと答えた。
荷物をごろごろとひきづってメトロの駅まで歩く。
いかにも旅行者という感じで、ぶっそうな国だったら心配になるところだけど、トルコ人でもけっこう大きな荷物をひきづっている人をよく見かけるし、にぎやかな通りだから問題もないだろうと思う。
いちど下見をしているから、メトロに乗って順調にアタチュルク空港に着いた。
時間がありすぎるので、まずフランス女優のジェーン・バーキンみたいな、ちょっとトルコ人ばなれした美人が働いている喫茶店でコーラを飲む。
彼女の写真を撮りたかったけど、となりにコワイ顔をした店の親父がいたので、うじうじ。
テーブルでパソコンを打って時間をつぶす。
コーラも飲み終わり、あとはさっさと出国手続きをすませ、出発ロビーの乗客待合室で時間つぶしをすることにした。
出国審査のカウンターはやたらに混雑していた。
いつも混雑しているのかどうかわからないけど、この日は異様な風体の人間が行列していたから、やっぱり何かイスラムの祭典があったのかもしれない。
あるカウンターに、頭のはげたショーン・コネリーみたいな顔のおじさんが並んでいた。
顔だけ見るとなかなかいい男であるけれど、なにか審査官にいちゃもんをつけられたのか、おじさんはいきなり着物の前をパッとはだけた。
着物といってもインドの行者みたいな白い布きれをまとっただけで、その下ははだかで胸毛がもじゃもじゃ。 もちろんパンツははいていたけど。
3枚目の写真がそのコネリーおじさん。
この日の空港にはこういうわけのわからない人間がたくさんいた。
待合室の床にもどこかのへんてこな宗教の信者みたいな連中がごろごろ。
4枚目の写真はその1例。
空港というのは人種のるつぼみたいで、こういう人間をながめているのはいい時間つぶしになった。
往路でこりているから、帰りは窓ぎわの席にしてもらった。
早めに手続きするとわりあい自由に席を選べるようだ。
飛行機は40分ほど遅れたけど、もはや驚かない。
飛行機が離陸したのは、現地時間の18時半だった。
かくしてわたしのイスタンブールの旅は終わり。
あまりにもだらだらと間のびした旅だったかもしれないけど、わたしはマイペースで十分に楽しんだ。
わたしの信念のひとつ、家や車はどんな立派なものでもあの世には持っていけないけど、思い出は持っていけるだろう。
そんな思い出がまたひとつってわけだ。
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コメント
こんにちは
トルコにもうすぐ行くので、精読させて頂きました!
おもしろかったです。私もイスタンブールの街を、たくさんブラブラしてこようと思います。
ありがとうございました!
投稿: きじねこ | 2012年10月12日 (金) 14時10分