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2012年7月 9日 (月)

アシェンデン

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BSで 「望郷」 という映画が放映されている (いまテレビで観ているところだ)。
わたしがまだ生まれてなかったころの映画なので、どうこういえっていわれても困る映画なんだけど、世間ではこれをいちおう名画としているようだ。
いま観るとそれほどとも思えないけれどねえ。

この映画は、好きな女のために破滅する男の物語である。
似たような話がモームの小説にある (映画よりこっちのほうが古い)。
読書家の人なら感づいたかもしれない。
モームの 「アシェンデン」 という連作の中に、英国情報部がなんとかして逮捕しようと狙っているインド人の大物活動家の話がある。
この活動家はある踊り子が好きになっているのだが、英国はまず彼女のほうを逮捕し、おとりの手紙を書くよう強要する。
踊り子もしたたかだし、小説もひとすじ縄じゃないから、ああだこうだと顛末があって、それでもとうとう活動家は英国の手のとどく範囲におびき出されてしまうのである。
逮捕された活動家が自決してしまうところも 「望郷」 によく似ている。
ただし小説のほうには、いかにもモームらしいオチがあって、これが映画とはちがう点だ。
わたしにとっては小説のほうがずっとおもしろい。

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