河野談話
前々項で、「だだっ子をなだめるために××がやむをえず出した談話を、鬼の首獲ったみたいにふりまわすな」と書いた。
この××のところには“河野”という文字が入る。
いわゆる「河野談話」のことである。
慰安婦問題については、わたしも強制連行はなかったとの立場で、つねづね韓国の言い分に劣等感まるだしの怨念みたいなものを感じていたから、こんなことを書いたんだけど、今日の新聞に河野談話の全文が載っていた。
で、はじめてこの文章に目を通してみた。
なんだ、全文も読まずに書いていたのかといわれると申し訳ないけど。
最近の傾向からすると、まるで河野談話が強制連行を認めたかのように書いてあるということで、保守派や右翼系から見直しの機運が出ているようである。
わたしも全文を読むまでは、おおかたそうなんだろうと思っていた。
しかしすくなくともこの文章を読んだかぎりでは、しごくふつうのおだやかな文章で、このていどなら何も問題はないと思う。
むしろ、どっちにでも解釈できるような記述もあり、もちろん書いたのは日本の優秀な官僚なんだろうけど、双方の顔を立てた名文であるかもしれない。
たとえば「官憲が直接これに加担したこともあったことがあきらかになった」という文章がある。
したこともあったというと、けっこうあいまいな表現になってしまう。
金は出すけど事業にはタッチしないという場合でも、直接加担したという意味にとれてしまう。
金を出した張本人が、いや、オレは事業に関係ありませんといっても通用しないのと同じだ。
「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が行った」
「その場合も、甘言、強圧による等、本人の意思に反して集められた事例が数多くあり・・・・・」
わたしは当時の朝鮮の状況からして、日本軍がいい給料を払うからと募集すれば、親の借金の身代わりとなって、自ら慰安婦に応募した女性もたくさんいたと思うけど、ここでも表現はあいまいで、まあ、中にはそういうこともあっただろうなあと思うしかない。
「いずれにしても慰安婦の問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題である」
当時の軍が関与してなかったと断言できる人は、保守派にも極右の中にさえいないだろうから、これも間違っていない。
多数の女性の中には、生活に困窮した貧しい日本人の娘もたくさんいたんだけどね。
このあと河野談話は、ありきたりのたてまえ論みたいなかたちで終わっている。
だから問題は河野談話の見直しではなく、文句をいうならその後の韓国の対応にあるというべきだ。
大阪の橋下クンも強制連行はなかったといっているけど、彼も河野談話を読むまえのわたしと同じレベルらしい。
新聞の記事によると、韓国政府に登録された慰安婦は234人で、現在の生存者は61人だそうだ。
正確な数字がわかっているとは思わなかった。
このていどなら、今度こそこれが最後ですよといって、公式の謝罪と賠償でカタをつける手もあるのではないか。
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