真珠の耳飾りの少女
上野にある東京都美術館で「真珠の耳飾りの少女」を観てきた。
暑いなか、わざわざ出かけたのは、ブログのネタになるかもというのがひとつ、ハイブロウな人間であると錯覚したいという願望がひとつ、カワイ子ちゃんの絵であるからというのがひとつで、知的な好奇心ではないみたい。
午後の遅い時間に行ったせいか、館内は想像していたよりもすいていて、楽な気分で観られたのはこちらの作戦勝ち。
1~2時間ならんでも観ようという熱狂的な野次馬のピークは過ぎたのかもしれない。
「真珠の」についていうと、行くまえからNHKの特集番組を観たり、わたしが購読している朝日新聞の記事を読んだりして(朝日新聞はこの絵画展の共同主催者なのだ)、それなりの知識を得ていたから、なにをいまさらという感じがしないでもなかった。
ゴーギャンやゴヤのときもそうで、話題になっている絵画展の場合、いつもだいたいそう思う。
今回の絵画展ではレンブラントの自画像なんてものもあって、それだけでも観る価値があったから、がっかりはしなかったけど。
カワイ子ちゃんの細部をながめると、なんとなくあいまいなタッチで、写真でいうところのソフトフォーカスみたいな効果を出しており、半開きにした口もとがじつになまめかしい。
このへんの作画のテクニックについては、ほんの小さな光のポイントが絶大な効果を発揮しているんですよなどと、NHKの番組に詳しかった。
青いターバンにはひじょうに高価な染料が使われているそうだけど、そんなことは絵を観たってわからない。
薄暗い部屋の中で、そこだけ照明をあてられ、みんなの視線を一手に引き受けて、彼女はなんとなく恥ずかしそうだった。
わたしは描かれた人物に感情移入できてしまう人なのだ。
こういう絵は、自分の部屋の壁に展示し、ひとりで後生大事に鑑賞するのがふさわしい。
美少女をアパートに監禁し、独占したいという変態男の願望みたいだけど、そのつもりで帰りに彼女の絵をあしらったマグネットを買ってきた。
これを部屋のどこかにペタンとはりつけて、朝な夕なに鑑賞するつもり。
ところが帰宅していささか困惑。
わたしの部屋はIT機器ばかりで、そんなものに磁石をはりつけるわけにはいかない。
仕方がないから冷蔵庫の扉にはりつけた。
これでも暑い日中、ビールを飲むたびに彼女をながめられるわけだ。
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