天国
新聞にときどき海外特派員の報告、というよりちょっとした体験談を書いた記事が載る。
2、3日前のそれに笑えるものがひとつ。
イスラムの国ではよく訊かれることらしいけど、あなたは何教徒ですかという質問がある。
日本人は宗教なんてほとんど気にしてない人が多いけど、イスラムの国では無神論者は人間以下だと思われてしまうから注意しなくてはいけない。
この特派員も、いちおう仏教徒ですと答えたそうだ。
イスラムは偶像崇拝を禁じているから、お釈迦様の仏像なんてものにまず拒絶感がある。
仏教徒は死ぬとどうなるのですかと相手の質問。
輪廻転生というものがあってなどと説明したら、相手の表情が固まって、生前の善悪を誰が決めるのですかと詰め寄られた。
ヤケクソになって、つい閻魔大王がなんて答えたら、相手は絶句してしまったそうだ。
わたしもイスラムの国が好きだから、こういう質問をされた場合の対処方法を用意しておかなければいけない。
そういうときはこっちから逆に質問する。
イスラムでは死ぬとどうなるのですか。
天国に行けます。
と、相手は待ってましたとばかり返事をしそうな気がする。
天国に行けるかどうか、誰が判断するのですかと逆襲してみる。
戒律をよく守り、徳を積んだ人は誰でも行けます (たぶんそんな返事をするのではないか)。
この論法では言い負かされてしまいそうだ。
うーむである。
こんなことを書いているうち、以前うちに押しかけてきたことのある、カルト団体にとりこまれちゃった女子高生のことを思い出した。
なかなか可愛い女の子だったけど、彼女も天国をすなおに信じていた。
わたしはいやらしいおじさんだから、ねちねちと追求する。
天国ってどんなところなの。
みんなが幸せになれるところですと、彼女の返事にはそつがない。
ああそう。 それじゃあねと、わたしはさらに追及する。
仮にわたしとあなたがいっしょに天国へ行ったとするよ。
わたしが天国に行けることはないかもしれないけど、かりにあったとして・・・・・・ あなたは可愛い女の子だから、わたしはあなたを自分のモノにしたいと思う。
その場合、あなたはわたしを拒否できない。
なぜなら、拒否されたとたんに、わたしにとって天国はもう天国じゃなくなってしまうでしょう。
わたしみたいなおじさんを幸せにするために、ぐっと我慢してわたしの愛人になるとしたら、今度はあなたにとって天国は地獄でしょ。
返事に困っている女子高生のために、わたしが代わりに答えてあげた。
ひょっとすると天国というのは恋愛感情や欲望を超越したところかもしれないね。
たとえば認知症の人たちや精神病院の患者さんは、そういう感情を超越してるみたいだけど、つまり天国っていうのはそんな人たちがいっぱいいるところなのかい。
それじゃまるでH病院みたいじゃないか (H病院はうちの近所の精神科の病院)。
むむむと苦しむ若い娘をいじめるのはこのくらいにしておいた。
宗教は科学と相容れないところがあるから、わたしみたいな合理主義者が、科学を持ち出して相手の言い分を封じることはむずかしくないと思う。
でもイスラムにかぎらないけど、わたしは自分が興味をもってない宗教というものについて、そんなになんでも知っているわけじゃない。
合理的な部分以外で、わたし自身もときどき悩むことがあるくらいである。
さて、来年はアホらしいことばかりじゃなく、もっと哲学的で、人間の深層心理にせまるようなブログが書けるかどうか、2012年の最後の 1日にしみじみ考えよう・・・・・ っと。
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