カマキリの卵
散歩していてカマキリの卵を見つけた。
貴重なものである。
むかしは庭でも畑の中にでも、いたるところにミノムシだとか、なにやらの虫の卵、さなぎなんかが見られたものだけど、最近は、すくなくてもわが家の近所では、そういうものをほとんど見かけない。
カマキリの卵なんて見たこともない子供もいるんじゃなかろうか。
虫のきらいな人には総毛立つ景色だろうけど、十月十日 (?) もたてば、ここからカマキリの子供たちがうじゃうじゃわいてくるのだ。
これは野川の河川敷にあった木に産みつけられたものだけど、これを産みつけた母カマキリの心中を察するとしみじみ。
この河川敷は大雨が降ると冠水することがある。
そういうことがないように、あるていど高い場所に産みつけなければならない。
のっぺらぼうな場所に産みつけると、せっかく孵化した子供たちが、みんな天敵に食べられてしまうから、そのころには卵のまわりに木の葉がふさふさしていなければならない。
たいていの小鳥はこの原則をよく守っているけど、小さな昆虫のカマキリでさえ、ちゃんとそういう気遣いをしているようである。
そうやって子供たちの安全に留意した母カマキリは、たいてい冬をこせずに死んでしまう。
彼女は子供たちの運命を見きわめることができない。
自然界は生まれた子供をみんな無事に育んでくれるわけではないから、そのほうが幸せかもしれないけど。
お父さんカマキリのほうはもっと悲惨だ。
彼は交尾の最中、母カマキリに食べられちゃったかもしれないのである。
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