ロシアの旅/イコン
トレチャコフ美術館の内部は広いので、2時間半ほど観てまわっていいかげん疲れた。
かほりクンも以前知り合いを案内して気分がわるくなってしまったことがあるという。
その気があればロシアにいるあいだにもういちど来ることも可能だから、この日はわたしの好きな絵だけを重点的に観たところで引き上げることにした。
帰りにイコンの部屋を通った。
イコンというのはロシア正教の教会に飾られている宗教画のことだけど、むずかしいことをいいだすと話がものすごく複雑になってしまうから、興味のある人はウィキペディアでも丸写しすればよろし。
ここにあげたのはイコンの見本みたいなもので、これを見ればどんなものか想像はつくだろう。
イコンの部屋を横目にながめただけでいろんなことを考える。
日本にもイコン画家はいた。
司馬遼太郎の「街道をゆく」ではじめてその存在を知った、明治の女流画家山下りんである。
彼女はなんと、明治という男権の時代にサンクトペテルブルクに留学してイコン画を学んでいるのである。
この偉大なる先駆者の素顔、そして作品はネットで見ることができる。
ほかにくだらないことも考える。
イコンというのは、もともとは教会の壁に飾られていたものだから、ひっぱがしてきたのだろうか。
スターリンの廃仏毀釈から救ったということだろうか。
イコンにとって教会の壁に貼りついているのと、美術館に展示されているのと、どちらが幸せだろうかなんちゃって。
わたしはイコンに興味も知識もないので、「三位一体」 という作品 (有名なんだそうだ) をちらりと観ただけで、ほとんど素通り。
ただ、クレムリンの聖堂で見たうす汚れたイコンより、トレチャコフ美術館にあるもののほうが、色彩もきれいで立派なものばかりに思えた。
だから興味のある人にとっては、この美術館のイコンはやはり価値があると思う。
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