ロシアの旅/早朝の散歩
日ごろ怠惰で有名なわたしだけど、見知らぬ外国へ来ておそくまで寝ていることはできない。
イミナさんの実家で朝早く目をさました。
わたしが独占して寝ていた部屋にはパソコンがあったから、わたしはナターシャさんの部屋に寝かされていたらしい (アルト君の部屋はワンフロア上である)。
たまたまMさんも起きてきて、散歩に行くかいという。
ぜひと答え、防寒着に着替えていっしょにマンションの外に出た。
ほかの人たちは、イミナさんのお母さん以外はまだみんな寝ているようだった。
マンションの外に出てみたのは、Mさんは散歩ではなく、タバコを吸うためだった。
散歩に行くのはわたしひとりで、それでは帰ってきたとき建物に入れないおそれがある。
マンションはオートロックで、3桁の数字ボタンを押さないとドアが開かないのである。
帰ってきたときにこの数字を押すんだとMさんが教えてくれた。
わたしは数字をすぐに忘れる人間だから、メモ帳に書きとめた。
外はまだ暗い。
この季節、モスクワで夜が明けるのは9時ごろ (現地時間) である。
寒さはきついけど、ひとりで夜明けの町をぶらぶら歩くのはとても楽しかった。
しかし散歩はこれからイヤっというほどすることになるのだから、ここはさっさとはしょって、わたしの失敗について話すことにする。
マンションに帰ってきて、建物に入るために3桁の数字を押そうとした。
ところがまだ暗いうえに、押しボタンの数字がすり減っていてよく読めない。
これでは建物に入れない。
ロシアに到着早々、わたしはモスクワ郊外の団地で凍死してしまう運命だったのか。
ドアのまえでもたもたしていたら、たまたま戸外で雪かきをしていたおばさんが寄ってきて、何ヲシテイルノカといったようである。
窮状を訴えると、なんだ、そんなことかと、わたしの替わりにボタンを押してくれた。
ロシア人は無愛想にみえても、とても親切であることがよくわかった。
建物に入ってエレベーターに乗ったまではよかったけど、ここでまたはたと困惑。
イミナさんの両親の部屋は10階建ての10階のはずだけど、たしかアルト君の部屋がワンフロア上のはず。
上にまだ部屋があるということは、ひょっとするとわたしの聞きまちがいで、両親の部屋は9階だったのかも。
で、いちおう9階まで行ってエレベーターのまえの通路をのぞいてみた。
しかしエレベーターまえの通路なんてものは、イロ気も目印もない殺風景なコンクリートである場合が多く (ロシアでも例外ではないのだ)、どうもよくわからない。
ただ床にしいてあった段ボールがちょっと記憶にないような気がした。
そこで10階にも行ってみた。
たまたま心配顔で部屋の外に出ていたイミナさんのお母さんにばったり出会ったからよかったもの、そうでなかったらわたしは部屋にも入れず、しばらく9階と10階のあいだを行ったり来たりしていたはずだ。
あとで聞いたらワンフロア上のアルト君の部屋はあとから作ったものだという。
ロシアの住宅構造はよくわからない。
最後の写真は、ようやく明けてきたマンションからのながめ。
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