ロシアの旅/格安ホテル
いつまでナターシャさんの部屋にいすわっているわけにはいかない。
この日のわたしは、日本であらかじめイミナさんが予約してくれたホテルに移動することになっていた。
両親の家を去るとき、万一のためにとイミナさんが、ロシアで使用できる携帯電話を貸してくれた。
メトロを乗り継いで、Mさん夫妻とホテルに向かう。
この日もイミナさんの家で昼食をとったり、とちゅうで両替をしたりしていたおかげで、そろそろ暗くなる時刻だった。
ツヴェトノイ・ブェリヴァールという舌をかみそうな名前の駅でメトロを下りた。
ホテルの名前は Karetny Dvor Hotel。
名前の意味がわからないけど、番地は Maly Karetny Street というところになっているから、もともとは人名らしい。
日本語でどうやって表記したらいいのかもよくわからないけど、ネットには 「カレトニードボル」 と表記されたものがあるから、この名前でいくことにしよう。
日本人が泊まるところとしては、モスクワでもめずらしい格安ホテルである。
ロシアの格安ホテルというのはどういうものだろう。
たしかこのへんのはずだと、イミナさんがうろうろ。
さがしても見つからないのはもっともで、彼女が想像しているホテルは、独立した建物に立派な車寄せがあり、きちんとしたフロントが完備、ボーイや守衛がいるようなところなんだけど、ぜんぜんそうではなかった。
路地の入口にわびしい看板が出ていた。
看板を頼りに路地を入っていくと右側の建物に扉がついている。
この扉が押しても引いても開かない。
インタフォンで呼びかけたらようやく開いた。
写真が路地とホテルの扉だ。 つまりこれがホテルの玄関なのだ。
入ってすぐに殺風景な階段があって、かたわらの壁に、ホテルは最上階ですというプリンターで打った張り紙が。
エレベーターもないので、重い荷物をかかえてえっさえっさ。
これは香港式だなと思う。
地価の高い香港には、雑居ビルの 1、2フロアだけを改造したホテルがたくさんある。
ただ、香港のほうはエレベーターぐらいついているのが普通なんだけど。
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