ロシアの旅/陽のあたらない通り
センヤナ市場を見たあと、ひと駅区間だけメトロに乗って、サンクトペテルブルクの目抜き通りであるネフスキー通りにもどった。
リーザ嬢の案内でこの通りをぶらぶら散策する。
ライサさんから、わたしがおかしな旅人で、ただ街をぶらぶら歩きたいのだということが娘にも伝わっていたのかもしれない。
とりあえず目的もなしにぶらぶらである。
ネフスキー通りはほぼ東西にのびているので、陽のあたる側と陽のあたらない側がはっきりしており、正式の番地もそういう区分けがしてあるそうである。
メトロを下りたあと、道路の南側を東に向かったので、まず陽のあたらない側を歩いたことになる。
サンクトペテルブルクを散策していて感じるのは、圧倒的な石の文化ということ。
日本の黒い瓦、白い壁の商家がならぶお江戸日本橋あたりの通りも、かってはそれなり魅力的だったと思うけど、残念ながら日本ではそんなものはとっくのむかしに消滅した。
ロシアでは江戸の商家とたいして変わらない歴史のサンクトペテルブルクの街が、造られた当時のままの威容を保っているのである。
中国の上海も世界遺産になりうる可能性をもっていたにもかかわらず、傍若無人な高速道路はできるわ、新しい様式の高層ビルはできるわで、古い街並みは弾圧されて見るかげもない。
西側先進国の都市はみんな似たようなものと思えば、サンクトペテルブルクの新古典主義都市としての価値はいよいよ高くなる。
オストロフスキー公園なるものがあった。
まん中にエカテリーナの像が立っている。
モスクワのかほりクンにいわせると、エカテリーナという女帝は2人いたそうで、この公園にあったのはそのどちらなのか。
長い裾をひいたドレスの足もとに5人の寵臣をしたがえた、威風堂々の女性の立像だから、これはサンクトペテルブルクで絶対的権力をにぎった2世のほう。
ちなみにエカテリーナは、英語ではキャサリン、フランス語ではカトリーヌとなって、日本でも洋画好きにはおなじみの名前である。
公園の奥には劇場があった。
正面に6本の円柱がそびえ、その上に騎馬の彫刻が跳躍する堂々たる劇場だ。
帰国したあとで調べてみたら、これはアレクサンドリンスキー劇場というらしい。
もちろん昼間っからなにか上演しているはずがないけど、いちおう内部へ入ってチケット売り場のあたりを偵察してみた。
劇場の中には公演予定の劇のポスターが貼ってあった。
よくわからないけどおもしろそう。
館内のジオラマも展示してある。
6階まで観客席があるところは、あとで行くことになるコンサートホールといっしょで、天井桟敷という言葉もこれを見るとよく理解できる。
ぶらぶらとフォンタンカ運河の橋まで歩き、そのあたりで引き返すことにした。
この川ももちろんまっ白に氷結していて、その氷の上に人が歩いた跡がついている。
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