ロシアの旅/センナヤ市場
この旅に出るまえに、山田実、ゆきよ夫妻共著による 「サンクト・ペテルブルクの異邦人」 という本を読んでみたら、そこにセンナヤ市場というものが出てきた。
ネットで調べてみたら、この市場について
ロシア語で「干し草広場」を意味する。
18世紀半ばに市場として整備され、干し草や薪などが売買された。
ドストエフスキーの小説「罪と罰」の舞台となったことで知られる。
なんて説明が見つかった。
バザール、マーケット、市場、なんでもいいけど、わたしはそういうものを見るのが大好きである。
ぜひその市場に行ってみたかったので、リーザ嬢に訊くと、わたしはそんなところに行ったことがありませんという。
どうやら彼女も買い物は今ふうのデパートやスーパーに行くらしい。
地図で調べると、センナヤ市場はわたしの泊まっているホテルから1キロぐらいで、ロシア美術館と反対方向へ行ったところである。
まあ、わたしについてきなさいと、これはモスクワでかほりクンとトレチャコフ美術館に行ったときと同じで、どっちが案内者かわからない。
たぶんこのへんだろうという大きな交差点にさしかかった。
ここを起点にして道路がいくつも延びている。
市場はどこだ。
ここから先は、さすがのわたしにも 「地球の歩き方」 の地図を参照しただけではわからないのである。
えい、山カンでと、適当な道路を選んで歩き出した。
忘れちゃいけない。
この旅のわたしは徹底的にツイているということを。
ものの100メートルほど行ったあたりで、左側の路地を入ったところに門のようなものがあるのを見出した。
これがセンナヤ市場の入口だった。
門をくぐると、両側に衣料品をあつかう小さな商店が軒を接していた。
どうせ万国共通のメイドインチャイナばかりに決まっている衣料品ではつまらない。
わたしが見たいのは生鮮食品、野菜や果物、肉や魚介類をあつかう市場である。
衣料品を横目に、そのへんのお兄さんをからかいながらぶらぶら歩いていくと、右側に大きな建物があって、そのドアのガラスごしに山と積まれた果物が見えた。
これこれとわたし。
お店が建物の中にまとまって入っているという点はわたしの予想と違っていたけど、やはり市場というものは興味のつきない場所である。
野菜果物だけではなく、魚介類、肉、チーズ、ハムなどいろんなものが売られていた。
ちょっと見には近代的なスーパーみたいだけど、買い物に来た奥さんたちが、ねえ、それもうちっと安くなんないのと交渉できるところがスーパーとの違いかも。
うれしがったわたしが思い切り写真を撮ろうとすると、リーザ嬢が小さく首をふって、それはちょっとまずいんじゃないかしらと目くばせをする。
べつにマフィアが仕切っているようすもなかったけど、おかげで遠慮して写真は数枚しか撮れなかった。
最後の写真は、漬けもの屋さんから何かをすすめられて、あら、美味しいわというリーザ嬢。
こうやってつまんで味見できるところもスーパーとの違いだな。
寒いところからいきなり暖かな建物に入ったものだから、レンズが曇ってしまっている。
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