ロシアの旅/ロシア美術館
ネフスキー通りから血の上の救世主教会に向かって運河づたいに歩くと、そのとちゅうにロシア美術館がある。
ここも扉がひとつで、注意してないと通り過ぎてしまうくらい入口は小さい。
もっともわたしは裏口から入ったのかもしれない。
運河とは反対側にもっと立派な入口もあるようだ。
入口は小さいくせに、一歩館内に足を踏み入れると、もう改札のあたりからコリント式?(この写真で見るかぎり、わたしにはイオニア式にしか見えないけど) の列柱が立ち並び、その落差にあれまあと叫んでしまうくらいである。
ここもエルミタージュと同じように、かっては宮殿だった建物をそのまま美術館に流用しているのだそうだ。
エルミタージュが西欧の名画を中心に集めているのにくらべると、ロシア美術館はトレチャコフ美術館と同じようにロシアの絵画を中心に集めた美術館である。
モスクワにはロシア美術専門のトレチャコフ美術館と、西洋美術専門のプーシキン美術館があり、サンクトペテルブルクには西洋美術のエルミタージュ、ロシア美術のロシア美術館があって、ちょうどバランスがとれている。
わたしはサンクトペテルブルクではぜひロシア美術館も観たかった。
入場料を払って服をクロークに預け、2階にあがると、すぐ見通しのいい廊下にぶつかった。
左のほうを見ると前衛というか、モダーンというか、そんな絵画が展示されている部屋のようで、右のほうはもうすこし古そうな絵である。
で、右に向かうことにした。
こっち方向の最初の部屋にはイコンが、いや、いわゆるイコンではなく、縦長の、もっとモダーンな宗教画がならんでいた。
まあ、古けりゃいいってもんでもない。
教会の中にも近代的な建物はたくさんあるのだから、こういう宗教画でなくちゃ具合がわるいってこともあるだろう。
古いイコンは古い教会 (と美術館) にしか居場所はないのだ。
さらにとなりの部屋に行く。
やはりわたしは入口をまちがえたようで、この順序でいくと絵画の歴史を逆にたどることになってしまった。
つまりどんどん絵が古くなるのである。
べつに絵画の歴史を勉強しようってわけじゃないからなんだっていいけど。
リーザ嬢とならんでいる木彫のヌード作品はまだモダーンのうち。
リーザ嬢はなかなか協力的で、写真を撮られてもそれほどイヤな顔をしない。
絵もステキだけど、彼女もステキだから、これはありがたい。
館内のあちらこちらで、見学に来ているロシア人の学生、小中学生たちに出会う。
絵を観ることは過去の歴史を直視することだから、子供の教育にはなかなかよろしい。
学校のようすをうらやましそうにのぞきこむ貧しい少年を描いた絵なんかは、ぜひ現在の子供たちにも観てほしい絵だ。
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