ロシアの旅/夏の離宮A
ナタリー・ホテルに到着したその日のうちに、もう閉館まであまり時間がなかったから大急ぎで、ホテルから近いエカテリーナの宮殿を見物した。
ホテルから宮殿まで直線距離にすれば、せいぜい5、600メートルだ。
ライサさんの車で宮殿の横のほうから近づく。
宮殿ちかくの、住宅街の中の道路上に車を停めたけど、これは厳密にいうと駐車違反かもしれない。
ぶらぶら建物のあいだをぬけていくと、ど派手なBMWが停まっていた。
こんなものは宮殿とはなんの関係もないけど、とりあえず紹介してしまう。
ツァールスコエ・セロー (現在はプーシキン市) にあるエカテリーナの宮殿は 「夏の離宮」 と称され、たぶんこれがあるがゆえだろうけど、夏にこの街はめちゃ混みになるそうである。
わたしが行ったときはがらがらだった。
閉館まぎわだからではなく、冬ならたいていこんなものらしい。
この離宮は 「おろしあ国酔夢譚」 の主人公・大黒屋光太夫がエカテリーナに謁見したところだそうだから、日本からの観光客にはとくに関心のあるところかもしれない。
さて、この旅でわたしがロマノフ王朝の宮殿を見るのは、夏の離宮が最初になるけど、それはいったいどんなものか。
ここにひとつのパンフレットがある。
夏の離宮に入ったときもらったものだけど、ここに宮殿内外の写真が載っているので、パンフレットの写真とわたしが撮った写真をならべて説明することにする。
まず2枚目から5枚目まではわたしが撮ったもので、雪におおわれた宮殿は白と青の涼しいカラーに塗られ、冬にみるとまさに雪の女王の宮殿にふさわしい。
屋根の一か所には、例によって金ピカのたまねぎがいくつか。
わたしは住宅街に接した横のほうから離宮に近づき、建物内部を一巡して、その前面にある公園のほうに出てきた。
これだけでは住宅街のまん中にある宮殿という印象で、まわりもあまり起伏のない平坦な土地のように見えたけど、帰国したあとでグーグルの衛星写真を子細に検分してみたら、南側に大きな池があり、西側はずっと大きな森になっていることがわかった。
5枚目の写真はグーグルの航空写真で、中心部の直線と半円形の建物が宮殿で、○印はライサさんが車を停めたあたり。
つぎの3枚の写真は、パンフレットに載っていたべつの季節の宮殿である。
池の中には小さな島があり、エカテリーナが宮殿を造ろうと考えるのももっともなくらい風光明媚なところのようで、時間があれば宮殿の周囲も十分に散策する価値のあるところのようだった。
最後の写真は森のある側の、つまりこれが正門なのかもしれないけど、250年まえのある冬の夜、舞踏会が開かれるというので、森の奥からシャンシャンと3頭立てのトロイカがやってくる、そんな光景が目に浮かんでしまうようなステキな門である。
ステキなことばかりじゃない。
離宮を見学していて困ったことは、わたしの英語がぜんぜんライサさんに通じないってことだった。
これまではわたしだって、小学校高学年か中学校低学年ていどの会話能力はあると信じていたのに、相手も英語を勉強中のロシア人ということもあって、どうやらわたしの英語は小学校低学年以下みたい。
コマッタ。
| 固定リンク | 0
コメント