ロシアの旅/駐車違反
日本食レストランを出たあと、リーザ嬢は家に帰り、こんどは父親のスレイブ氏が車でわたしを観光に連れていくという。
オーロラ号を観に行きましょうという。
オーロラ号というのは、エイゼンシュテインの映画で有名なポチョムキンとならんで、ロシア革命に功績のあったとされる巡洋艦のことで、現在はサンクトペテルブルク港外に係留され、その功績を記念する博物館となっている。
わたしはむかし自衛隊にいて、軍艦にはいやというほど乗っているから、あんまりその気にならなかったけど、せっかくだから連れていってもらうことにした。
スレイブ氏といっしょに、ロシア美術館のうらのほうの、彼の車を停めてある場所に行ってみた。
車がなかった。
たまたまそこで警察が駐車違反の車を持っていくところだったから、どうやらスレイブ氏の車も持っていかれたらしい。
ロシアでは駐車違反の取り締まりはけっこうきびしい。
写真はモスクワのプーシキン駅前で見た取り締まりのようすだけど、特殊な工具で4つのタイヤをはさみこみ、あっという間に吊り上げてレッカー車で運んでいってしまう。
路面のジグザグ模様は、ここはバス停だというマークだそうだ。
気のドクなスレイブ氏をわきにおいて、わたしは取り締まりのパトカーに興味を持ち、その写真を撮っておいた。
警察官になにかいわれるんじゃないかと冷や冷やしたけど、こういう点でもかっての横暴な、すぐに市民をラーゲリ送りにする警察とはちがってきているようだった。
車がないのでは観光もくそもない。
もうしわけないとスレイブ氏は恐縮していたけど、そもそもわたしへの好意が仇になったわけだから、恐縮するのはこっちのほうである。
わたしは彼に送られて (徒歩で) ホテル・ドルフィンにもどった。
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