ロシアの旅/農婦と花火
サウナのあとは宴会になり、みんなで飲み食いしているとき、ひとりのおばあさんが訪ねてきた。
この人は近所に住んでいるヴァーゴ爺さんの知り合いで、金髪クンにいわせると老人の恋人だそうである。
頭にスカーフをまき、写真ではわかりにくいけど、カーディガンの下にはくるぶしまで隠れるようなスカートをはいていた。
わたしは感動して思わずさけんでしまった。
この人は古いロシアの農民そのままの格好をしています。
わたしはロシアの農村で、ロシアの農民に出会うのが夢でした。
ロシアの農民はさまざまな絵画に描かれている。
たとえばここに添付したグラバーリの 「三月の雪」 という絵を見ればわかるけど、頭をスカーフで覆い、長いスカートをはくというのが女性の典型的なスタイルだ。
寒ければこれにカーディガンのようなものをはおる。
つまり、このときあらわれたおばあさんのスタイルそのまんまである。
もうひとつ。
ここに挙げたグラバーリの絵の中で、農民の女性は長い柄の両側に、天秤にしたバケツをぶら下げている。
ヴァーゴ爺さんの家に、ハンガーのような奇妙なものがあったので、金髪クンにコレはなんだいと尋ねてみた。
硬い木でできたもので、肩にのせると、ちょうど首を迂回して両肩でバランスが保てるようになっている。
これは左右にバケツをぶら下げて、水汲みに使うものですと金髪クンはいう。
4番目の写真がそれで、絵の中で描かれているものとまったく同じものではないか。
この旅では、むむむ、ほんとうにわたしの見たいものがなんでも見られてしまう。
いいかげん飲み食いしたあとで、全員で村はずれまで花火を打ち上げにいった。
もう夜の10時ごろで、あたりはまっ暗、そんな中を大のおとなたちが着ぶくれしたままわいわい行くのだから、はたから見ると異様な光景だったかもしれない。
以前マルタ島へ行ったとき、ガイドさんから、この島の人びとは花火が大好きで、年に1回の花火で大散財をしますなんて話を聞いたことがある。
日本人も夏になると各地で花火大会をするけど、それ以外の場所や時期には、とくに花火が好きだとは思えない。
ロシア人は夏冬の季節を問わず、とても花火が大好きなようだ。
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