ロシアの旅/不安
ママさんの家のあるボロヴィチという町は、モスクワとサンクトペテルブルクとの中間あたりにある。
だからわたしがバスに乗るのは、サンクトペテルブルクまでの行程の半分だけでいいのだけど、それでも4時間かかるという。
これは今回の旅の最大の関門かもしれない。
わたしは大陸中国でも何度か長距離バスに乗ったことがあるけど、バスの時間はあまりアテにならない。
中国では6時間といわれて9時間かかったバスもある。
ロシアだって同じようなものかもしれない。
サンクトペテルブルクでは、ライサさんというイミナさんの友人が迎えに来てくれることになっているけど、そんなに順調にいくだろうか。
だいたいバスの発着場というものは、乗る人、着いた人、見送りの人、そういう人にモノを売る人、関係ない人等でごった返しているのがふつうだ。
そんなところで首尾よく相手がわたしを見つけてくれるだろうか。
見つけてもらえなかったら、あるいは出迎えがとつぜん病気にでもなって迎えに来れなかったら、わたしはひとり寂しく異国の街かどにたたずんでいるしかないのである。
そのうち不良の少年たちに取り囲まれ、手に持った荷物をふんだくられる、そいつを追いかけるうちスーツケースも持っていかれる。
そんなみじめな状況ばかりが脳裏をちらちらする。
勝手にしやがれ。
くよくよしても仕方がない。
わたしは自分の幸運に賭けることにした。
ここに写っているバスはわたしが乗ったものではありません。
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