ロシアの旅/困惑
翌日は朝食をすませたあと、かほりクンとの約束はないので、ホテルの部屋でのんびりする。
この日は深夜に、Mさん夫妻といっしょに、イミナさんの田舎の親戚に出発する予定になっていたけど、部屋は明日の昼まで借りる契約にしてあった。
ちょっともったいないけど、怠惰なわたしにとって、昼にチェックアウトして深夜まで途方に暮れるよりはいい。
そんなわけでベッドでごろごろしていたら、Mさんから電話がかかってきた。
田舎に1泊したあと、わたしひとりでサンクトペテルブルクに行くことになっていて、あちらではイミナさんの知り合いがわたしの面倒をみてくれるそうである。
その知り合いが仕事を休み、車であちこち案内してくれるそうなので、いくらか多めに謝礼を用意しておいたほうがいいでしょうというのが電話の主旨だった。
困ったことになったなと思った。
謝礼自体は想定の範囲内だけど、どうやら相手はわたしが訪ねるのを手ぐすねひいて待ち構えているらしい。
わたしにしてみればホテルの紹介と、帰りの列車の手配ぐらいしてもらえばいいつもりでいた。
ひとりで街をぶらぶらしたいというのがわたしの本音で、あんまりガチガチに予定を組まれたのでは自由旅行の意味がないではないか。
しかし相手は好意でしてくれるのだから、むげに拒否もできない。
うーむとハムレットの心境である。
それはそれとして、謝礼のことを考えると、いま手持ちのルーブルだけでは足りなくなりそうだったので、またいくらか両替をしておこうと思う。
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