ロシアの旅/旧居
モスクワに帰ってきた翌日は、またかほりクンとデイトだ。
正確にいうと、彼女のガイドであちこち観てまわるということである。
プーシキン駅で11時に待ち合わせ、どこへ行きたいですかと訊かれたから、そうですね、またトレチャコフ美術館に行ってみたいと答えた。
ずっとむかしに観たトレチャコフ美術館展では、水彩画でもすばらしい作品がたくさんあったことをおぼえていたので、それを観たかったのである。
メトロでトレチャコフ美術館の近くに行ってみると、かほりクンは、わたしはむかしこのへんに住んでいたんですといいだした。
このあたりは古い建物が多く残っている環境保存地区だそうだ。
そのわりには古くさい4、5階建てのアパートもあるし、庭木などにも雑なところがあって、べつに感心するようなところにも見えなかった。
この建物は古いものです。あ、これもむかしの建物ですとかほりクン。
しかしモスクワにしてもサンクトペテルブルクにしても、古い様式の建物はくさるほどあり、むしろモダーンで新奇な様式を探すほうがむずかしいくらい。
彼女のいう古い建物の中には、色なんかまだ最近塗られたみたいなきれいな建物もある。
ああ、そうなのと、こういうときは説明者にさからわないのがわたしの主義である。
住宅街にある4階建てのアパートのまえでかほりクンが、ここがわたしの家でしたという。
これまでたくさん見てきた、けっして洗練されてるとはいえない集合住宅である。
うむ、なるほどと、それ以外にいうことはない。
近くに教会や幼稚園もある。
この風景は彼女の思い出の中でどんな意味を持っているのだろう。
この近くにチョコレートを作っている店があります、チョコレートを買いませんかとかほりクンがいう。
わたしはチョコレートがキライじゃないけど、無理にロシアのショコラが欲しいわけじゃないし、この日にみやげなんか買う予定はない。
チョコに関心があるのは、むしろかほりクンみたいである。
せっかくだからのぞいてみるかと、その店の前まで行ったら、この日は休みで入れなかった。
ぶらぶら行くと、トレチャコフ美術館の近くの公園に金色の額がたてかけてあった。
誰かが忘れていったのかと思ったら、これはそういうかたちの彫刻だった。
美術館が近いから額のモニュメントだなんて、これはまあ、わかりやすくていいのかも。
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