ロシアの旅/街歩き
旅の10日目、サンクトペテルブルクに着いて4日目。
ライサさん家族の好意はよくわかっているけど、この日のわたしは、疲れた、腰がいたい、今日は半日寝ていますといって、部屋にひきこもってしまうことにした。
じつはこれはライサさんに頼らずに自分で街をぶらついてみようという作戦だった。
この日は夕方からクラシック・コンサートに行く予定になっていたけど、とにかくそれまでは自由な時間が持てるわけだから、それを利用してひとりで気ままに、サンクトペテルブルクをさまよってみるつもりだったのである。
ぜんぜん目的がないのもナンだから、とりあえずオーロラ号まで行ってみることにした。
オーロラ号というのは、ロシア革命に功績のあったとされる巡洋艦のことで、現在はサンクトペテルブルク港外に係留され博物館となっている。
ということはすでに書いた。
地図をみるとサンクトペテルブルクの主要部は、エルミタージュを中心とした半径2キロぐらいの範囲におさまってしまいそう。
ここにあげたのはグーグルの航空写真で、○マークがわたしの泊まっていたホテル・グリフォン、△マークはカザン聖堂で、□マークは血の上の救世主教会である。
上のほうにネヴァ川にかかるトロイツキー橋が見えるけど、そこまでは運河づたいに北上すればいいことがわかる。
ホテルから橋まではおおむね1キロ半ぐらいで、この橋を渡ってしまえばオーロラ号までせいぜい1キロ。
このくらいなら散歩するのにちょうどいいではないか。
ホテルを出発したのは昼の11時ごろ。
この日は冬のロシアらしい曇り空だったけど、雪が降ってきたとしてもそれほどしつこい相手ではないはずだから、かまわず出発した。
のんびり歩いていくと、血の上の教会のあたりで民族楽器を叩いている若者に出会った。
寒いのにご苦労さんということで、100メートルくらい手前で投げ銭を用意しておいた。
チップは払わない主義のけちなわたしであるけれど、芸術家に対してはわりあい気まえがいいのである。
血の上の教会のわきには感じのいいレストランがあった。
キリル文字でPARKSと書いてある (らしい)。
腹はへってなかったから写真を撮っただけで無視。
つまらないことをだらだら書いているけど、そんなのんきに歩いていて大丈夫なのかいという人がいるかもしれない。
わたしはわりあい方向感覚のいいほうだし、サンクトペテルブルクは計画されてつくられた都市らしく、道路が広くて整然としており、ひじょうにわかりやすい。
突出した建物はイサク聖堂とか血の上の教会、ペトロパヴロフスク要塞の針のような塔など、数えるほどしかないから、どこにいてもそういうものが目印になるのである。
ぶらぶら歩いて雪におおわれた公園にさしかかった。
ここがサンクトペテルブルクでなかったら、どうってことのない公園だ。
冬のさ中ということであまりひと気はないけど、それでもイヌを散歩させている人や、通勤途上らしい若い娘も歩いている。
スリや強盗がいたとしても、まさか日本人がひとりでこんなところをのほほんと歩いているとは思わないんじゃなかろうか。
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