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2013年5月29日 (水)

弁明

465b

どこへ行ってもたいていそうだけど、わたしの趣味はほかの人とちがっている場合が多い。
旅に出ても名所旧跡よりは、市場だとか下町だとか田んぼのある風景だとか、他人があまり興味をもたないものに魅かれてしまう。
食べ物なんかでも、わたしの好きなものは魚と野菜がメインで、とくに刺身が大好物で、肉や揚げものなんかあまり食べたいと思わない人間なのである。
わたしの知り合いで、今回いっしょに行く人間の中には、肉がないと生きていけないという者もいる。

世間には、どっちかというとそういう人のほうが多いみたいで、わたしはいつでもどこでも浮かびあがってしまう困った性格なのだ。
無理してヘソ曲がりしているわけじゃないから始末がわるい。
大勢で行く場合はまわりに合わせるべきだという人がいるかもしれない。
そうなると大勢の人はいいけど、わたしひとりがつまらない体験をしなければいけなくなる。

やっぱり根本的な問題は、団体行動がキライというわたしの孤独癖だろう。
そんならはじめからひとりで旅行に行けばよさそうなもんだといわれてしまいそう。
もちろん最初はそのつもりだった。
ただ、わたしが行こうとしている西表島の崎山湾は、その美しさをひとり占めするのはモッタイナイところだ。
ハワイでいっしょにダイヤモンドヘッドに登ったO君は、財閥のくせにひとりじゃどこにも出かけない人間だから、彼にもきれいな海というものを見せてやろうと思った。

O君に声をかけると、なんせ彼は情報漏えいのプロだからたまらない。
この話はあっという間に拡散して、それじゃあボクもアタシもと、たちまち参加者が30数名、というのはオーバーだけど、複数のメンバーが集まった。
こうなるとわたしのわがままはいよいよ際立ってしまう。
だからといって他人に合わせようとも思わない。
だいたいこのメンバーの中で、いちばん旅に思い入れを持っているのはわたしなのだ。

どうしたらいいかと悩んだあげく、提案したのが、今回の旅ではまったく参加者の自由行動にまかせるスタンス。
意見の合わない人間が集まった場合、これがベストの方法だろうと思う。
でもそれはわたし方向からの見立てで、団体でワイワイ騒ぐのが好きだという人間の側からみれば、やはりわたしは反抗分子のよう。
子供のこころをもった人、好奇心に富んだ人、天然自然を愛する人になら、とってもとってもすてきな旅を保証してあげるのにね。

崎山湾は、秘境といわれる西表島のなかでも、ほとんど開発されてない西のはずれのほうにあって、グーグルの航空写真でにながめても、このあたりにはまだ道路もできてないようだ。
日本アルプスのてっぺんの山小屋でさえカフェができる現在、自然があるがままのすがたで残った、ほんとうの意味で秘境とよべるのはこのあたりじゃないかと思う。
どこかのバカが西表を世界遺産に推薦して、ぶしつけな観光客が押し寄せないうちに、それを自分の目で確認するのはひじょうに貴重な体験になること請け合いなのである。

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